イタドリの特徴

イタドリはタデ科の多年生植物です。

茎は中が空洞になっていて、多数の節があります。

その構造はやや竹に似ています。

三角上の葉を交互につけ、特に若いうちは葉に赤い斑紋が出ます。

 

雌雄は別々と株で、雄花は雄しべが花弁の間か長く飛び出すように長く発達していて、雌花はめしべよりも花弁の方が大きいのが特徴です。

夏には白か赤みを帯びた小さな花をつけ、花の色が特に赤みを帯びたものはベニイタドリと呼ばれ、本種の亜種として扱われています。

種子には3枚の翼があり、風にのって散布され、春に芽吹いた種子は地下茎を伸ばして群落を形成し、一気に生長します。

様々な場所に生育でき、肥沃な土地では高さ2mほどまでになります。

湿ったところを好み、谷間のがけ崩れ跡などはよく集まって繁茂しています。

 

辺り一面に花が咲いていると多くの昆虫が集まり、秋に昆虫が集まる花の代表的なものとして知られています。

また、冬には枯れた茎の中の空洞をアリが冬眠用の部屋として利用し、イタドリハムシは成虫も幼虫もイタドリの葉を食べて暮らします。

イタドリの利用

イタドリの若い茎は柔らかく、春頃のタケノコのような姿をした新芽は採取して皮をむいて山菜として昔から食べられてきました。

水でゆで、しっかりとアク抜きをしてから食べる地域や、イタドリの持つ酸味を味わうために皮を剥いで、塩もみしてから炒めて食べる地域があり、高知県や和歌山、兵庫県、秋田県、岡山県などが知られています。

 

最近ではイタドリの新芽を利用してジャムなどを作っている地域もあり、酸味のあるイタドリのジャムはパンに塗るだけでなく、紅茶やお菓子に加えるとさっぱりとしていて美味しく食べられると評判です。

 

また、肉の下味に使うと肉が柔らかくなったり、オリーブオイルや酢と混ぜればさっぱりとした魚介サラダにぴったりのドレッシングにもなり、現代風にアレンジされている魅力の食材でもあります。

 

また、冬になって地上部分が枯れたころに根茎を採取し、天日乾燥させたものを虎杖根といい、緩下作用や利尿作用があるとして民間薬に使われることもあります。

 

カンゾウなどと一緒に煎じ、咳を鎮めるために利用されることもあります。

最近では、美容効果が期待できるデトックスにも利用されているのだとか。

 

その他にも、戦時中の、たばこの葉が不足した時などにはイタドリを代用葉としてタバコに混ぜたり、インドや東南アジアではイタドリの葉を巻いたものを葉巻の代わりにしていたり。

イタドリに寄生するイタドリ虫は釣り餌として使われることもあるなど、意外にも沢山の使い道がある植物なのです。

イタドリの猛威

イタドリは北海道西部以南の日本、台湾、朝鮮半島、中国に分布し、東アジアの原産種です。

19世紀に観賞用としてイギリスに輸出され、旺盛な繁殖力から在来種の植生を脅かす外来種となりました。

 

コンクリートやアスファルトを突き破るなどの被害が出て、2010年にイギリス政府はイタドリ駆除のために天敵のイタドリマダラキジラミを輸入するなどの対策に追われました。

世界の侵略的外来種ワースト100に指定され、他の植物の生育を妨げる恐れもあります。

イタドリの駆除

イタドリを駆除するにはイタドリの駆除にはイギリス政府が行ったように天敵を増やすことが効果的と言われています。

日本にはイタドリマダラジラミが自生しているので、自然の状態でイタドリの繁茂が抑えていると考えられています。

 

除草剤などを用いてイタドリを完全駆除することはできず、場所によっては土を全て掘り起こして根を除去し、その上に更に除草剤をまいて枯らすなどの大掛かりな駆除策がとられているところもあります。

(ライター ナオ)