毒を持つ生き物や植物は、捕食者への警戒色として奇抜で派手な姿をしているものが多くあります。
キノコの仲間でも、毒があるものは禍々しい姿をしていることがありますよね。
今回紹介する「ハイドネリウム・ピッキー」というキノコは、「これは絶対毒があるに違いない!」と言いたくなる外見をしています。
しかし、ハイドネリウム・ピッキーは本当に毒キノコなのか?という疑問や、詳しい生態などについて、見た目に惑わされず調べてみました。
ハイドネリウム・ピッキーってどんなキノコ?
ハイドネリウム・ピッキーは、主に北米や欧州で見られるキノコです。
年々生息域は広がってきており、中国やイランでも発生が確認されています。
日本で発見された例はありませんが、2010年には韓国で見つかった例もあるため、もしかしたら日本国内にも上陸することがあるかもしれません。
(すでに上陸している可能性もあるかも?)
特筆すべきはハイドネリウム・ピッキーの衝撃的すぎる見た目。
真っ白い傘の表面に、まるでイチゴジャムのような赤黒い液体が染み出しており、なんともグロテスク。
キノコというよりは、何か他の生命体の体の一部…と言った方がしっくりくるような見た目ですね。
(フルーチェやパナップなど、食べ物に例える人もいますが、食べ物に例えるにはグロすぎます…)
時間が経ち成熟すると、赤い液体は姿を消し、普通の茶褐色の地味なキノコになるそうです。
成熟前と成熟後の姿を見比べると、同じ種類のキノコだとは到底思えません。
ハイドネリウム・ピッキーに毒はあるのか
禍々しく毒々しい見た目のハイドネリウム・ピッキー。
どこからどう見ても、食べたらただでは済まない!という感じがにじみ出ていますね。
果たして、本当にハイドネリウム・ピッキーに毒はあるのでしょうか。
結論から言えば、ハイドネリウム・ピッキーに毒はありません。
あんなに毒々しい見た目なのに毒はないなんて…逆に裏切られたような気分です。
ただ、インターネットで検索すると「ハイドネリウム・ピッキーは猛毒キノコである」という情報が出てくることがあるのです。
実際には毒などないのに、なぜこのような情報が溢れているのでしょうか?
原因は、ある人物のTwitterの投稿です。
その人物はハオドネリウム・ピッキーの画像と共に、「食べると体中に激痛が走り死に至る」など、このキノコの毒性についてをまとめたものをアップしていました。
そのせいで、ハイドネリウム・ピッキーはとても危険な猛毒キノコ、というデマが拡散してしまったのです。
嘘の説明文に書いてあった内容は、様々な毒キノコの毒性についての説明を合体させただけのものだったようですが、それをうっかり信じてしまうほど見た目のインパクトがすごいということですね。
あれを「毒キノコだ」と言われたら、すんなり信じてしまうのも仕方がありません。
「出血キノコ」という別名で呼ばれることもあるようですが、それは「食べると出血する」ということではなく、「キノコが出血している」という見た目から来ているものです。
他にも「悪魔の歯」「イチゴとクリーム」などと呼ばれることもあるんだとか。
どれも的確な呼び名ですね。
ハイドネリウム・ピッキーについてのまとめ
見た目の悪さはともかく、毒性はないハイドネリウム・ピッキー。
毒がないので食べても問題はないかと思いますが、食用としては分類されていません。
なぜなら、苦くてとても不味く、食べられたもんじゃないから。
(実際のところ、サイトによっては多少毒性もあると書かれているところもあり、命にかかわるようなものではないものの、100%安全かと言われるとそうでもなさそうです。)
まあ「ハイドネリウム・ピッキーはすっごく美味しい!」と言われても、食べるのには勇気が要りそうですが…。
(ライター もんぷち)