アミメニシキヘビは、人間を獲物と見なして襲ってくる巨大なヘビです。
今回はそんな人食いアミメニシキヘビについて紹介します。
アミメニシキヘビの生態
アミメニシキヘビは、ニシキヘビ科ニシキヘビ属に分類されるヘビです。
別名は、レティキュレート・パイソン、レティック、マレーニシキヘビ。
特定動物でもあります。
アミメニシキヘビは、その背面に網目(あみめ)状のはん紋が並んでいます。
種小名の「reticulatus」は、「網目模様の」という意味で、和名や英名と同義です。
その繁殖形態は卵生で10~50個、多いときには100個もの卵を産みます。
メスは卵のまわりにとぐろを巻いて、それを保護します。
アミメニシキヘビの生息域
アミメニシキヘビは、インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ラオスなどの熱帯雨林や耕作地を主な生息地とします。
シンガポールでは下水道にも生息しています。
幼蛇のときは、樹上棲傾向が強いのですが、成長にともない地表棲となります。
また、夜行性で、昼間は茂みや樹洞などで休みます。
アミメニシキヘビの大きさ
アミメニシキヘビは、オオアナコンダとともに、世界最長のヘビです。
文献によっては、最大全長9メートル90センチとされます。
ただし体重は、全長が等しい場合はオオアナコンダよりも軽い傾向にあります。
ただ、軽いとはいっても、100キロを越える個体も確認されています。
ようするに人間よりもひどく大きな動物です。
アミメニシキヘビは分布が広いせいか、体色や全長が地域によって大きく異なります。
大型化する地域がある一方で、インドネシアのジャンペア島の個体群は、最大全長が2メートル50センチほどと小さいです。それでも充分大きいのですけれど……。
ちなみに、プロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントは、2メートル26センチ。
NBAのプロバスケットボール選手のシム・ブラーも、2メートル26センチです。ジャンペア島のアミメニシキヘビのほうが大きいです。
アミメニシキヘビの食性
アミメニシキヘビの食性は動物食で、爬虫類、鳥類、哺乳類などを食べます。
大型の個体では、ヒョウや人間の捕食例もあります。
アミメニシキヘビは、口と牙で獲物に噛みついたのち、その長い体で巻きつきます。
そうやって窒息するまでゆっくりと締め上げる――と、思われていました。
しかし、実は窒息ではなく、強く獲物の体を締めあげることで、獲物の心臓を止めて殺すことが分かってきました。
獲物は上手く締めつけると、わずか数秒で死亡します。
窒息よりも速く殺せるのです。
そして獲物を殺したあとは、丸呑みにするだけです。
アミメニシキヘビの益害
アミメニシキヘビの皮は、革製品として利用されています。
また、食用とされることもあります。
その気になる味は、鶏肉にそっくりで淡白、美味のようです。
アミメニシキヘビの人間との関わり
アミメニシキヘビは、ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されています。
ただし、動物愛護法によって特定動物に指定されているため、飼育には地方自治体の許可が必要になります。
大型化しないとされる個体群においても、別種や亜種として分割されていないため、飼育には許可が必要です。
人の死亡例
1995年、マレーシアで27歳の男性が7mのアミメニシキヘビに襲われました。
発見されたときは、体を締めつけられ、ちょうど頭が飲みこまれているところでした。
2012年には、茨城県に住む66歳男性がペットショップの飼育場で倒れているのが発見されています。
男性は右腕や頭にかまれたあと、首や頭には絞められたあとがあることから、飼育されていた体長約6.5mのアミメニシキヘビが、なんらかの理由で檻から出て男性を襲ったと見られています。
男性は、収容先の病院で間もなく死亡が確認されました。
2013年にもインドでニュースがありました。
アミメニシキヘビが男性を飲みこみ、その丸々太った体が報道されたのです。
ただ、この写真はその数年前から出所がアイマイなままネット上で流布しており、撮影地がインドかどうか、そして実際に飲みこんだものなのかは確たる証拠がありません。
人食いアミメニシキヘビのまとめ
人間を絞め殺し丸呑みするというアミメニシキヘビ。
日本でも死亡例がありますので対岸の火事というわけにはいきません。
ペットのニシキヘビを放流して、それが野生化したという話も海外ではありますので、キャンプなどをするときは、一応、気をつけてくださいね。
(ライター ジュン)