あなたは「カモシカ」という生き物を知っていますか?

意外に多くの人が「シカの仲間でしょ?」という勘違いをしていますが、シカではありません。

 

それでは一体、カモシカとはどのような生き物なのでしょうか。

その生態や、害獣としての一面なども紹介していきたいと思います。

カモシカってシカじゃない?

名前に「シカ」とついているくせに、じつはシカの仲間ではなくてウシやヤギの仲間なんです。

日本に生息しているのは「ニホンカモシカ」一種類。

東北地方から中部地方、そして京都府、鈴鹿山脈、紀伊半島などに分布しています。

主な生息場所は低山地から亜高山帯にかけての落葉広葉樹林などですが、現在では生息数の増加に伴って低地にも出現するようになりました。

基本的には単独で生活をし、4頭以上の群れを形成することはほとんどありません。

 

体長は1mちょっと、体重は30~45kg。

体は白や灰褐色の毛で覆われてずんぐりしており、足も短め。

 

全くシカのイメージと違うので不思議だったのですが、ウシやヤギの仲間だと言われれば納得ですね。

昔からスラッとした綺麗な足の事を「カモシカのような足」と言いますが、実際のカモシカは全然美脚でもなんでもないのに、なぜそう言われるようになったのでしょうか。

 

カモシカは漢字で「羚羊」と書くのですが、これは「レイヨウ」とも読みます。

元々レイヨウとは、ガゼルやインパラなど同じウシ科の生き物をまとめた呼び方で、かつてはカモシカもレイヨウと呼ばれていたんです。

 

そしてガゼルやインパラなどのすらっと長い足から「羚羊のような足」という表現が生まれ、日本では一番身近なレイヨウはカモシカだったため、「カモシカのような足」という表現へと変わっていったのです。

 

しかし現在ではカモシカはレイヨウに含まれないとされているので、余計に混乱してしまうのです。

由来は知らないけれど実際の姿を知っているという場合には、「イヤミか!?」と思っちゃいそうですよね。

カモシカの足跡を見つけたら…

カモシカは天然記念物になっていたり、県獣に指定されていたりしますが、じつは害獣としての一面も持っています。

生息数が増加するにつれて低地にも出現するようになったことは前述しましたが、そのせいで農作物にも被害が。

 

木の葉、芽、樹皮、果実などを食べるので、特に林業においてその被害は深刻です。

そのため天然記念物ではありますが、「地域指定天然記念物」というくくりに変更され、地域によっては駆除が認められているそうです。

 

しかし、できれば駆除をする前になんらかの予防策などを取って、平和的に解決したいですよね。

どんな動物に被害を受けているかによって対策は変わってくるので、まずはカモシカの被害であることを特定しなければなりません。

 

その手掛かりは「足跡」。

足跡が似ているのは、シカ、イノシシです。

 

この中でもイノシシは、副蹄(かかとについている小さな蹄)の跡がつくのに対し、シカとカモシカは副蹄の跡がつきません。

そして、蹄の先がとがっていたらシカ、丸みを帯びていたらカモシカの足跡です。

 

農作物を守るためには、防護柵の設置が有効です。

シカに対するものよりも高くする必要はなく、1mほどの高さで十分。

 

ネットなどでも有効ですが、破られる場合もあるのでできれば金属柵がおすすめですよ。

基本的にカモシカは不特定多数の集団で農作物を襲うわけではなく、そこを縄張りとしている特定の個体のみによる被害に限定されます。

そのため、電気柵までは必要ないことが多いようです。

カモシカについてのまとめ

今まで、カモシカってシカのようなすらっとした動物だと思っていた人は多いのではないでしょうか。

私もその一人です。

 

初めて本当の姿を知った時は、衝撃でした。

「カモシカのような足」という表現にすっかり騙されていましたね。

思い込みって怖いです。

(ライター もんぷち)