海の覇者、シャチ。流線形なフォルムに大きな背ビレ。モノトーンの堂々たる体躯。
どこをとっても格好いいシャチですが、人間を襲う事はあるのでしょうか?
シャチの生態
クジラ目マイルカ科シャチ属のシャチ。
シャチは小型のクジラを食べる為、英語ではkiller whaleなどと呼ばれます。
漢字では鯱、回転寿司店の湯飲みに書いてありそうな漢字ですね。
オスは6m前後、メスは5mくらいとされていますが、もっと大きなものも生息しているようです。
寿命は一般的にオスは30年、メスは50年ほどと言われています。
シャチの骨格ときたら大したものです。海に生息する恐竜のように発達しています。
大きな頭骨、脊椎のしなやかな連なり、前ヒレの骨の発達した様子など、どこを見てもこれじゃあ強いわけだと思いますね。
とりわけ目をひくのは頭の大きさです。
中にはさぞかし大きな脳が詰まっているに違いない。
シャチは哺乳動物です。
母シャチを中心に、ポッドと呼ばれる群れをつくります。
波間から見え隠れする、最大2mはあるといわれる大きな背びれがフォトジェニック。
泳ぐ速度は速く、海獣では最速ともいわれる60km超え。
シャチが泳ぐ姿を見るとイルカなどと違い、随分筋肉質な姿に見えますね。
皮膚表面に張りがあり、いかにも強そう。筋肉量が多いせいか体重もかなりのもの。
大きいオスでは9トンにもなるとか。
シャチは我々と同じ肺呼吸ですが、頭の上の方についている呼吸孔(彼らにとっては鼻の孔にあたるようです)を使い、時折顔をだして呼吸をします。
睡眠については、右脳と左脳を交互に休ませているようです。これはクジラ類やイルカ類も似ています。
ちなみにシャチは海中で出産します。
これといった天敵がおらず寿命も長いシャチは、沢山出産する必要はありません。
出生率は低いそうですよ。
まだ幼いシャチだとサメに捕食される場合があるようですが、成獣になれば今のところ敵なし。
シャチの生息域
シャチが生息する海域は南極から北極まで。
高緯度の海域に生息しているようですが、全海域を泳ぎ回っていると考えられます。
ベーリング海、地中海、カナダ近海、ノルウェーにアルゼンチン、インド洋など、その名のごとく世界を股にかけるサカマタです。
日本近海では、北海道地方の根室や北方四島などで観測されています。
餌が豊富なのでしょうか。
後は知床ですね、季節と運がよければシャチの群れを実際に見る事ができるかも知れません。
和歌山近海でも確認例があるようですが、シャチは冷たい海を好むようです。
シャチは水深260mほどの海域に約15分潜水していられるらしい。
シャチの大きさ、いろいろ
オスもメスも5m以上はある大型海獣のシャチですが、中にはやや小型のシャチもいます。
カナダやノルウェー近海に棲むシャチはほぼ定住しているとされ、サーモンやニシンなどの魚類を捕食します。
シャチの特徴であるアイパッチも少し違うようですよ。
最近では亜種ではないかとされ、その地域に生息するシャチの生態が研究されています。
小型とはいっても大きいですから、漁場にシャチの群れが現れたら漁船などは危ないでしょうね。
シャチの食性
具体的に何を食べているのかは、シャチの腹の中を見ると分かります。
アザラシ、オットセイ、ホッキョクグマ、ペンギン、サメ、クジラなど。
ミンククジラを襲う際は群れで追いこみます。
シャチが狩りの際に見せる行動は独特です。
音波(クリック音)を使ったり、クジラの息継ぎを狙ったり、サメをひっくり返して動けなくしてから捕食するなど、捕食する生物の弱点をピンポイントに攻撃する頭脳プレーが多いですね。
シャチの食性は生息海域によって違いがあり、それが体の大きさや生態に関係しているようです。
シャチは歯鯨亜目に分類されている事もあり、歯と顎はとりわけ頑丈にできています。
シャチの成獣の歯の数は48本ともいわれ、歯の長さは10cmあり、鋭い歯先で獲物を引き裂きます。
シャチの益害、人間との関わり
シャチは寒い地方の漁師から不評を買う生物です。
彼らの武勇伝は世界中で聞かれますが、最も害をなすのは漁業との関係でしょう。
カナダ近海では釣り船がシャチにやられたそうですが、こういった場合でもシャチの本心は分かりません。
人間が釣った魚を求めていたとか(この件の場合、鱈は釣れなかったそうです)、ちょっと遊んだだけだとか(これも本当なのかどうか?)、様々な憶測が流れていますが、確実な事はシャチは危ないという事だけです。
小さな船で海に出る場合において、シャチの群れは人間の活動に害をなすことがあり得るでしょう。
2015年には千葉の館山沖にシャチの群れが観測されたそうですが、このように突然現れる事もあるので海獣に慣れていない横っ腹に弱い船舶は注意しないといけないでしょうね。
シャチが人間を襲う事はあるか?
シャチは人間を襲う事はあるが、捕食の為ではないようですよ。
捕食するつもりならば、2m以下の大きさである人間なら、全て食べてしまうはずです。
シャチはアシカの仲間のトドを捕食する事もあるそうですが、トドのオスは2m以上あります。
とはいっても、これだけ強靭な海獣です。
しかも頭もいい。
不用意に近づかない事が妥当な行動だと考えられます。
シャチはイルカより頭がいいのでは?などと言われますが、イルカとは進化の方向性が違うのではないでしょうか。
広い水の中でうまく棲み分けするために、方向転換したのかも知れませんね。
シャチは海洋に君臨する有能なハンターとして、イルカはキュートで賢い海のアイコンとして。
(ライター:おもち)