アカエリヒレアシシギは、春と秋の渡りの時期に、干潟や水田などに羽を休めるために飛来します。
バードウォッチャーに親しまれているこの水鳥を、当記事では紹介しています。
アカエリヒレアシシギの生態
アカエリヒレアシシギは、チドリ目ヒレアシシギ科ヒレアシシギ属に分類される鳥類です。
生息地はとても多く、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、キューバ、日本、ハイチ、パプアニューギニア、フィリピン、ブルネイ……と、とても多く、生息していない地域を探したほうが早そうです。
アカエリヒレアシシギは、北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖をします。
冬になると、アフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬します。
日本には、渡りの途中に飛来します。このような鳥を「旅鳥」といいます。
明石海峡では、春と秋の渡りの時期に、多いときには1万羽を越えるアカエリヒレアシシギの群れが観察されることもあるようです。
アカエリヒレアシシギの名の由来
アカエリヒレアシシギは、全長およそ19センチ。
背面の羽毛には、褐色のはんてんがあり、咽頭部や腹部の羽毛は白なっています。
夏羽は、腰に一対の白いはん紋があります。そして頸部の羽毛は赤くなっており、これが和名「アカエリヒレアシシギ」や英名「Red-necked phalarope」の由来といわれています。オスよりもメスのほうが全体的に淡い色をしています。
なお、頸部の羽毛の赤味だけは、メスのほうが強くなっています。
一方、冬羽は、頭部が頭頂部を除いて白くなります。
またクチバシから側頭部にかけて、筋模様が入ります。この筋模様を過眼線といい、アカエリヒレアシシギのそれは黒色です。
ちなみに体格は、オスよりもメスのほうが大きいです。
アカエリヒレアシシギと人間との関り
アカエリヒレアシシギは、海岸や河川、湖、池沼等に生息しています。
というわけで、人間にもよく観測されており、バードウォッチングでも人気の種です。「プリリっ」という鳴き声です。
実は、このアカエリヒレアシシギを含んだシギ類は、チドリ類とよく似ています。
シギ類とチドリ類は、春と秋の渡りの時期に、干潟や水田などに羽を休めるために飛来します。そこでなにをやっているかというと、干潟でゴカイやカニをとったり、水田でエビや微生物などをとったりしています。もちろんアカエリヒレアシシギも例外ではありません。
このシギ類とチドリ類は、春と秋に、干潟や水田といった同じ環境で見られるので、バードウォッチャーのなかには、シギとチドリを組み合わせた言葉「シギチ」を使い、『シギチを見にいこう』という言いかたをする方もおられます。
それほどまでにシギとチドリは似ているのですが、よく観測することにより、その違いを知ることができます。
シギとチドリの違い
アカエリヒレアシシギを含むシギ類と、チドリ類の異なる点は次の2つです。エサのとりかたと、頭のかきかたです。
まずエサのとりかたですが、シギ類はくちばしが細長く、常に下を向いてくちばしを泥のなかに刺し入れています。
くちばしを刺しながら、忙しく歩きまわってエサをとっています。
一方、チドリ類は、立ち止まってはキョロキョロと食べ物を探しています。
そして見つけると走っていって食します。それからまた周囲を見まわしで食べ物を探します。
アカエリヒレアシシギを含むシギ類は、くちばしの感覚で食べ物を探します。
チドリ類は、その大きな目で食べ物を探します。
同じ鳥類で同じような生態のものでも、このような特徴があるのです。
では、頭のかきかたはどうでしょうか?
アカエリヒレアシシギを含むシギ類は、足をかるがると持ち上げて直接頭をかきます。
一方、チドリ類は、足をぐるりとまわして、翼の間から足をだして頭をかいています。
このシギ類の頭のかきかたを「直接頭かき」といい、チドリ類の頭のかきかたを「間接頭かき」といいます。
なんだか直球なネーミングで、筆者が今テキトーにつけたような名称ですが、実はちゃんとした言葉です。
バードウォッチャーや鳥類学者の方々にも通じますので、機会があれば使ってみてください。たくさん鳥の話が聞けることでしょう。
アカエリヒレアシシギのまとめ
というわけで、アカエリヒレアシシギの生態や、シギ類とチドリ類の違いを見てきたのですが、同じような暮らしかたをしているシギ類とチドリ類に、このような違いがあるなんて面白いですね。
アカエリヒレアシシギは、泥にくちばしを刺しながら、忙しく歩きまわっています。
また足をかるがると持ち上げて直接頭をかきます。
干潟や水田で小柄な鳥を見かけたら、アカエリヒレアシシギかどうかチェックしてみてください。
この記事がバードウォッチングの楽しさを知るきっかけとなれば幸甚です。
(ライター ジュン)