カマキリと言えば昆虫界では食物連鎖の頂点に立つと言われるほど、強いハンターというイメージがありますね。
実際、あの大きな鎌に敵う昆虫はそうそういません。
しかし、そんなカマキリにも唯一敵わない存在が…それがメスのカマキリです。
オスのカマキリのほうがメスのカマキリより強そうなのになぜ?そのメカニズムについて紹介していきます。
カマキリのオスは命がけの交尾をする
生物が生きる最大の目的は繁殖して子孫を残すことです。
子供を産むということはまさに命がけであり、それは人間にも言えることですね。
しかしカマキリと人間の大きな違い、それは命を懸けるのが「オス」のほうだということ。
なぜ出産するわけでもないオスのカマキリが命がけなのか?
それは交尾の最中にメスがオスを食べてしまうからなんです。
オスにとって交尾はまさに命がけの戦いなのです。
なぜカマキリのメスはオスを食べてしまうのか
産卵を控えたカマキリのメスは、かなり食欲旺盛で凶暴になっています。
それゆえ、本来餌となる他の昆虫だろうとカマキリのオスだろうと、区別なく餌とみなして捕食してしまうのです。
襲われるとわかっていながら、なぜオスはメスに近づくのか。
それはオスが交尾をして子孫を残そうとするのもまた本能であり、生物として避けて通れない道だからです。
こうしてみると、とてもオスが可愛そうに思えてきますね。
しかし、オスも決して無駄死にではないのですよ。
オスを食べたメスと食べていないメスでは、食べたメスのほうが多くの卵を産み、またオスの体内のアミノ酸の多くがメスの体を通し卵にわたっているという研究結果があります。
食べられたオスはきちんと繁殖という目的を果たし、命を次世代へ繋いでいくのです。
ある意味最高の「イクメン」なのではないでしょうか。
食べられるのは、オスの愛情?
子供のために自分の体を捧げる、と聞くと、ものすごく愛情を感じてしまいますね。
しかし、実際のところはそんな美しいお話ではないのです。
カマキリのオスだって、もちろん進んで食べられたいわけではなく、大人しくされるがままというわけではありません。
メスに気付かれないように接近し、捕食されそうになれば全力で抵抗をしつつ目的を果たそうとします。
結果、無事に交尾を終えて生還するオスも少なくはありません。
カマキリにとって交尾はオスとメスの、本能vs本能の熾烈な戦いということです。
自然界の不思議、いろんなオスとメスのかたち
多種多様な生物の中には、カマキリのように変わったパートナー関係を持つ生き物がいます。
その中から少し面白そうなものをピックアップしてみます。
まずは「チョウチンアンコウ」。
チョウチンアンコウのオスはメスの十分の一ほどの大きさで、メスと出会うとその体に噛みつき、同化してしまうというとても変わった生態をしています。
オスの体は完全にメスと融合すると、脳や心臓もなくなり精巣だけを残してメスの一部となってしまうのです。
これによりメスはいつでも卵を産めるようになるというわけです。
なかなか出会いのない深海においてかなり合理的ではありますが、オスの情けなさや哀れさが際立ちますね…。
「カタツムリ」
カタツムリはオスとメスの区別がない、雌雄同体という自然界ではとても珍しい生態をしています。
オスとメスで生態が極端に異なるカマキリやアンコウとは真逆ですね。
カタツムリの交尾では、互いに精子を交換し合いどちらも卵を産むのです。
最強に合理的な繁殖方法だと言わざるを得ませんね。
しかも時には自分の体内の精子で自家受精してしまうとか。
こんなに摩訶不思議な生き物が身近にいたなんて、ビックリです。
自然界は人間の常識では計り知れないことがたくさんありますね。
身近に潜む生き物をよく観察してみると、新たな発見があるかもしれませんよ。
(ライター もんぷち)