世界最古の農作物ともいわれるそら豆。
存在感のある大きさと鮮やかな黄緑色のツルっとしたビジュアルは可愛らしいと感じてしまうほど。
ビールのおつまみとしても抜群の美味しさを誇るそら豆について詳しくお話します。
そら豆の特徴
そら豆はマメ科の一年草または越年草で地中海性南アジアが原産地と推測されています。
大粒種はジェリア周辺、小粒種はカスピ海南岸が原産地であるとする説もあります。
高さ50㎝程に成長し、3~4月にかけて3㎝程の花を咲かせます。
薄い紫の花弁に黒色の斑紋のある白い花を咲かせ、収穫は5月頃からで長さ10~30㎝程の鞘には3~3個の種が含まれています。
そら豆の旬の季節
そら豆は1月頃から出回り始め、7月頃までがシーズンと言えますがその中で旬の時期となると3~7月でしょうか。
鹿児島県産のものが3~4月にかけて、愛媛、香川などのものが4~5月、関東平野の千葉県、茨城県のものは5~6月にかけ、最後に東北、宮城県産のものが6~7月に旬になります。
最も多い生産量を誇るのは鹿児島県で全体の34%ほどの生産量があり、次いで千葉県、茨城県となっています。
そら豆栽培の歴史
そら豆はイスラエルの新石器時代の遺跡からも出土しています。インゲンマメが普及する以前は、そら豆は古代柄プトやギリシア、ローマに置いて食されていて、紀元前3000年以降中国に伝播、日本へは8世紀ごろに渡来したと言われています。
現在は南米、北米、ウガンダ、スーダンなどで栽培されている他、中華人民共和国で最高級品が栽培されています。
生産量が最も多いのも中国になっていて、全体の約6割を占めています。
そら豆の栄養価と食べ方
そら豆にはタンパク質、ビタミンB1,B2,カリウム、カルシウム、鉄、銅などが含まれています。
整腸作用のある不溶性食物繊維が豊富で高血圧予防に良いとされるカリウムや貧血予防に鉄や葉酸なども効果的です。
人によってはそら豆に含まれる成分で溶結性貧血を起こし、死に至ることがあり、そら豆中毒と言われています。
大豆アレルギーの回避のために代用食品としてそら豆を利用することもあります。
日本では塩ゆでするか、さやごと焼いて中の豆をそのまま食べるのが一般的ですが、揚げて塩を振ったものはフライビーンズと呼ばれお酒のおつまみなどで食べられています。
また煮物や炒めもの、スープなどに広く用いられ、アジアでは豆板醤の原料として利用されています。
中東のファラフェルの材料や中国ではそら豆から作ったもやしを生で食しています。
ヨーロッパでは家畜の飼料として栽培されていることもあります。
美味しいそら豆の見分け方
美味しく粒のしっかりと入っているそら豆を見分けるためには莢が綺麗な緑色をしていて均一に膨らんでいるものを選びます。綿のような弾力のあるものが良く、また新鮮なものはうっすらと産毛がついているのが特徴です。
逆に古くなるとさやが黒ずんでいたり、張りのないものは避けた方が良さそうです。
購入する時はなるべく莢付きで購入しましょう。
マメの詰めの部分は熟度の目安にもなっています。旬の出始めは色が薄めですが、時期が終わりに近づくと黒いものが多くなります。
そら豆雑学
そら豆の花びらには黒点が入っているのが特徴的。
そんな黒点は古代ギリシャにおいて、死を連想させる不吉なものとされていました。
死者の魂が入っているかもしれないとまで考えられていて、古代ローマ人もそら豆は葬儀に用いています。
イタリアでは細かく刻んだアーモンドと卵白、砂糖で作ったそら豆形のお菓子を「死者のそら豆」や「甘いそら豆」と呼んで死者の日に作って食べる習慣も残っています。
(ライター ナオ)