ゲジゲジは正式には「ゲジ(蚰蜒)」といい、日本には2種類います。一般的によく知られているゲジゲジは、体長20〜30ミリ程度で灰色がかった黄色をしたムカデの仲間で、全国に分布しています。

もう一方は、その倍ほどの体長45~60ミリもあるオオゲジで、こちらは四国、九州などの西日本に生息しています。

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どちらも脚は15対で細長く、体長の数倍もあります。

幼体の脚は4対ですが、脱皮を繰り返して体節を増やし、2年で成体となります。越冬して、夏の時期に産卵し、その後も生き続け、寿命はほぼ5~6年です。

ゴキブリの天敵ゲジゲジは益虫だが?

ゲジゲジは肉食で、ゴキブリなどの昆虫類やシロアリ、クモなどを補食します。

特にゴキブリに対しては、天敵として存在し、体格はほぼ同等であるのに、その長い脚を絡ませて捕え、バクバクと食べてしまいます。

 

ヒトにとっての害虫を駆除してくれる頼もしい益虫なのですが、見た目の醜悪さのためヒトからは嫌われており、不快害虫として扱われて、駆除の対象になってしまいます。

害虫駆除用のスプレー缶などにも、ムカデ、クモなどと共にゲジゲジもそのシルエットが描かれていることが多く、益虫でありながら、イメージとして害虫の扱いとなってしまっているのが実情なのです。

その動きは素早くて、ゴキブリ以上の運動能力を持ち、また長い脚を活かしての跳躍力もあるので、飛行中のガなどを捕らえることもできるのです。

ただしムカデのような攻撃性は無く、ヒトを刺したり、咬んだりすることはほとんどありません。

また、身の危険を感じて反撃に転じて咬んだとしても、毒は弱く、ヒトに被害を及ぼすことは、まずありません。

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ゲジゲジは天敵に襲われると脚を切り離して逃げる

ゲジゲジは鳥などの天敵に襲われると、トカゲの尻尾のようにその脚を切り離すことができます。

脚はしばらくモゾモゾと動いていますので、外敵からの注意をそらし、その間に逃げることが可能です。失われた脚は、脱皮の際に再生することができます。

脚が長く目立ちますので、外敵に襲われやすいので、屋外で生息しているゲジゲジで15対の脚が揃っていることは珍しいようです。

ゲジゲジはどこにいるの?

ゲジゲジは暗くジメっとしたところを好む・・というよりも、そこに集まるゴキブリなどを狙っていますので、必然的にそういった場所に出現します。

私がよく見かけるのは、庭石の裏側と台所の脇の勝手口の辺りが多いです。

ゴミ箱の裏や、灯油缶の下に潜り込んでいたりします。勝手口の方から悲鳴が聞こえてくると、大抵は掃除をしている最中に『ムシが出現!』ということで、私の出番になります(笑)

私はゴキブリに対しては容赦なく攻撃しますが、ゲジゲジにはしいです。直接触るのは気が引けますので、庭ホウキで上手く誘導して、屋外に掃き出してあげるようにしています。

慎重に、というよりも、かなり強引な誘導です。なぜならゲジゲジは動きが早いので、失敗してしまうと屋内に逃げ込まれてしまい、家中がパニックになってしまいますから・・。益虫だとわかっていても、歓迎はできません。

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ゲジゲジの名前の由来は?

ゲジゲジの和名でもある『蚰蜒(ゲジ)』は、古くからある言葉で、古典にも登場します。

その由来として、国語辞典では、陰陽道の下食(げじき)~天狗星の精が天上界から下界に降りてきて食事をしたこととゲジゲジの奇怪な姿が結びついたという説を挙げていますが、その他にも、素早い動きが修行中の『験者(げんじゃ)』になぞられて『ゲジ』になったという説もあります。

いずれにしてもゲジゲジは、たとえ益虫だとわかっていても、その容姿からあまり良いイメージは持たれていません。

ですから『ゲジゲジのような人』と言えば、人から嫌われていたり、憎まれたりしている者を指します。

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ゲジゲジ呼ばれた有能だが嫌われ者の武将

歴史を振り返ってみると、『ゲジゲジ』と呼ばれて嫌われた有名な人がいます。

鎌倉時代の武将梶原景時です。時代劇では、ほぼ必ずと言ってよいほどいじわるな悪人や腹黒い憎まれ役として登場しています。

源頼朝を助けて信頼を得て鎌倉幕府の成立に貢献した人物ですが、その後源義経が活躍すると頼朝に讒言をしておとしめて、兄弟の仲を引き裂き、最後は死に追いやったと言われているからです。

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日本人は『判官びいき』と言われるように、みんな源義経が大好きですから、その敵役として憎まれる対象になってしまったのです。

頼朝の死後、鎌倉から追放され、最後は討ち取られてしまいますから、幕府の御家人たちの間では、かなりの嫌われ者であったことは事実のようです。

しかし、同時に頼朝の右腕として有能な人であったのも間違いないようです。ゲジゲジ同様に、誤解されたままなのでしょうか。

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ゲジゲジ眉もゲジゲジ由来だった

ゲジゲジ眉』あるいは『ゲジ眉』と言いますが、これもゲジゲジに由来する言葉です。

ゲジゲジの形態によく似た、太くて濃いまゆ毛のことを指します。もちろん褒め言葉としては使いません(笑)

意図的に濃くしている場合には使われず、どちらかと言えば、お手入れをせず放置したままの眉毛のことを呼ぶようです。

水の中のゲジゲジ「水ゲジ」

屋内などの陸上以外・・・水の中にもゲジゲジはいます。

水槽で淡水魚を飼育している方は、よくご存知だと思いますが、『水ゲジ』と呼ばれる虫のことです。

 

正式には『ミズムシ』・・足の指の間にできる水虫ではありません・・といい、カメムシの仲間の水生昆虫です。

カメムシ目の水生昆虫は、アメンボやタガメ、タイコウチが有名ですが、ほとんどが肉食です。

ミズムシは体長1センチにも満たない、藻類などを食べるおとなしい種です。

水草や、飼育魚類に影響を与えることはありませんが、その見た目から『水ゲジ』と呼ばれるくらいですので、やはり飼育者からは嫌われているのです。

水草を購入した時に、葉の裏側などにくっついてくるようで、それが水槽内で繁殖してしまうようです。

飼育しているものが、ある程度の大きさの魚類であれば、捕食されてしまいますが、小型のものだと共生できてしまいますので、飼育者から見れば、水槽内が気になってしまい、駆除されてしまうことになります。

水『ゲジ』と呼ばれるだけあって、ここでも悪さをしているわけではないのに、嫌われてしまうのです。

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海のゲジゲジ「海ゲジ」は危険生物

淡水に『水ゲジ』がいるのなら、海水に住む『海ゲジ』はいるのでしょうか?

います。しかもかなり大きなもので、毒があります。正式には『ウミケムシ』と呼ばれていますが、形が『ゲジゲジ系』です(笑)

海の毒虫「ウミケムシ」って知ってる?

環形動物で、多毛類ですので、釣りの餌にする『ゴカイ』の仲間です。

体長は5~10センチほどで細長いのですが、体側に『体毛』と呼ばれる、ちょうどゲジゲジの脚に相当するような感じの長い突起物が両側に密生しています。この体毛の先端が毒針になっているのです。

ヤマアラシやハリセンボンのように、外敵がいると警戒して毛を逆立てます。

この時体毛が相手の体に刺さると毒が注入されます。ヒトの指なども、この細い体毛が刺ささることでヒリヒリした痛みを感じますし、毒素の影響で腫れてしまうこともあります。

釣りをしていると偶然に針に引っかかってしまうことも多いのですが、知らずに素手で処理しようとすると危険なので注意が必要です。

(ライター:オニヤンマ)

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