マリンスポーツを楽しむ方ならよく知っている「チンクイ」。
刺されると意外にチクっとした痛みと、その後に押し寄せる痒みが厄介な生き物、チンクイ。
今回はそんなチンクイについて詳しくお話します。
チンクイって何?
チンクイとはチンクイムシともいわれる可愛らしい名前で呼ばれることもある、甲殻類の幼生です。
甲殻類の幼生は段階的に名前がついていて、このうちのゾエアと呼ばれる段階の幼生の事を言います。
体長は2㎜程度で半透明をしている、ようはプランクトンの一種です。
カニの場合、卵が孵化するとプレゾエアと呼ばれるゾエアの前段階の状態のプランクトンになります。
これは海底200mという深い場所に生息し、体長は3㎜程度です。ボウフラに似ていて、海面に向かって泳ぎ、上がっていきます。
次の段階がチンクイの正体のゾエアです。プレゾエアからゾエアになるまでは30分ほどしかかかりません。脱皮をしてゾエアになると脚や長いトゲで体を安定させて約1か月位海面近くで生活し、再び脱皮し、また水深深く移動していき、最後はメガロパと呼ばれるカニに近い形状になり、海底で脱皮して稚ガニになります。
ゾエア状態のチンクイは遊泳能力はないので風や波で浮遊し、潮通しの悪い内湾などに溜まっていることもあります。
チンクイの名前は皆さんご想像の通り。そう、おそらくチンを食うからきていると思われます。
チンクイに刺された時の症状
チンクイに刺されると肌の弱い所から赤くて小さいぶつぶつが多発します。
非常にかゆくなる場合と虫刺され程度の被害で済む人と、全く平気な人など人によって症状は様々なようです。
チンクイ対策
海でチンクイに刺されないように対策するには露出部分にワセリンなどを塗っておいたり、チンクイムシの多く溜まるような湾状の所に行かないようにする、またラッシュガードなどを着用するといったことが比較的のようです。
チンクイには小さな脚があるので、男性のすね毛など、つかまりやすい所に掴まって刺すということもあります。
ワセリンを塗っておくと、ツルツルとしていて掴まりずらいということがあるのでしょうが、これも絶対ではないですし、ラッシュガードの上からでも刺す時もあるそうなので、完全にチンクイを防御するのは難しく、海を楽しむうえではある程度覚悟をしておいた方が良さそうですよ。
チンクイの発生の多いタイミングとしては大潮の上げ潮や台風のうねりなどの後、波打ち際や海面近くにたくさんたまっていたり、お盆の時期がちょうど成長時期と重なり、海水温が高くなってくるので、この時期もチンクイ被害が多発する時期だそうです。
日本では瀬戸内海や鎌倉方面で多く発生するという噂がありますが、これも地形や水温の事を考えると単なる噂だけではないようです。
海上のブイや波打ち際の砂浜などにもしっかりと脚を使ってしがみ付いているので、その辺りも注意が必要です。
チンクイに刺されたら
海に入っていてどこかの部分にチクチクとした違和感を感じたら、早いうちに流水で洗い流します。
肌の出ていることころだけではなく、水着の中も忘れないようにしましょう。
赤い発疹が出てきてもなるべく書かないようにして冷却すると痒みはやわらぎます。
ステロイド系の虫刺され用の薬も有効です。
子供の場合はかゆくて掻いているうちにとびひになることもあるので、皮膚科に行くことをオススメします。
くれぐれも海水浴の時期、チンクイにはご注意を。
万が一、痒みや湿疹が酷くなって病院にかかる際には「チンクイに刺された」とは言わず、「プランクトンに噛まれた」と伝えた方が紳士的ですよ。
(ライター ナオ)