まるで水中のコケのようなまりも。
皆さんはまりもを触ったことがありますか?
今回はまりもについて詳しくお話します。
まりもの特徴
まりもは国の特別天然記念物に指定されている球体の集合体です。
緑藻の一種で、特に北海道の阿寒湖に生息しています。
球状隊1つがまりもの一個体単位ではなく、球体を構成する細い糸状の繊維がまりもの1個体とされています。
つまり、まりもとして認識されている球状のものはまりもの集合体というわけです。
多くの生息地において通常まりもは糸状の形態で暮らし、球状の集合体を作りませんが、
集合体の球体は硬く、触るとチクチクした感触があります。
日本では北海道及び本州の東北地方から関西地方の故障に点在して分布していて、国外ではヨーロッパ北部、ロシア、北アメリカ等に分布しています。
日本でまりもの生育が確認されている湖沼は等で、このうち集合体の球体を形成するのは阿寒湖と小川原湖だけ。
まりもの生態
まりもは基本的に淡水に生息しますが、海水と淡水の混ざった汽水域でも生育が確認されています。
淡水産藻類としては耐冷性と耐暗性も非常に強く、淡水と共に凍結した場合は-20℃で一日程度の凍結であれば耐えることができ、冷蔵庫で凍結させず数か月保管しても死滅しないと言われています。
しかし、暑さには弱く35℃が限界で、夏場のまりも管理には冷蔵庫が必須。
2005年に水に浮かんだまりもが阿寒湖で発見され、光合成によって気泡を発生させて浮くことができます。
水質の悪化には弱く、近年のまりもの生息数減少はそのことが大きな要因になっているようです。
特にカチオン系の界面活性剤と乾燥に弱く、岸に打ち上げられると簡単に腰してしまいます。
泥に埋もれたり、シオグサに覆われるなどして光合成が阻害されても枯死します。
まりもの生息する阿寒湖
北海道の東部にある阿寒湖のまりもは最大30㎝程度と大きく、ビロード状の球状形態や希少性から1952年に国の特別天然記念物に指定されました。
近年各地で個体数は減少していて、主として環境省のレッドリストで絶滅危惧種として掲載されています。
阿寒湖のまりもは直径が約30㎝程度まで生長しますが、太陽光の届かない中心部は糸状体が枯れて空洞になっているので、大きさを支えきれずに簡単に壊れてしまいます。
しかし、崩れた後も再び小さいまりもとなり、再び成長を続けていきます。
3月29日はまりもが天然記念物に指定された日であり、まりもの日として阿寒湖では様々なイベントが開催されています。
2014年の時点で世界最大の球状まりもの生息地は阿寒湖の北側チュウルイ湾とされています。
阿寒湖のまりもは強風で起こる波浪によってゆすられ球状になると言われています。
球状のまりもは波浪により水中で更に回転し、光合成を妨害することになる表面のシオグサを落としたり、泥に埋もれたりしてしまうのを回避しています。
また、回転することによって他のまりもの下に隠されたまりもが表に出てくることもあり、群生地全体の各個体が光合成が行える仕組みになっていると考えられています。
大型の球体なったまりもはより波の影響を受けやすくなり、嵐などによる強風で湖岸に打ち上げられることもありますが、そんな時はバラバラになってその破片を元に再び球状まりもへと成長していきます。
阿寒湖のまりもはまさに強風や波浪と共に生きてきた結果であるといえるのです。
販売されているまりも
観光地のお土産品として小さくて丸いまりもが瓶詰めされて販売されていますが、あれは実は自然の球体ではなく、糸状体のまりもを人工的に丸めただけのもの。
実際に養殖したものとも違っています。
これらは「養殖まりも」として販売され、釧路湿原国立公園内のシラルトロ湖で採取したまりもを使っています。
また、「天然まりも」の名前で販売されている商品はロシアなどの海外から輸入したものです。
(ライター ナオ)