子供の頃、夏休み川に遊びに連れて行ってもらうと、決まって足元にチョロチョロッといたのが、サワガニ。

家に持って帰って、しばらく大きな水槽で飼っていたことを思い出します。

 

確か・・・・夜中に脱走をして家の階段をウロチョロしていたような・・・!?

サワガニと飼育の際の餌についてまとめました。

サワガニの特徴と生態

サワガニはエビ目カニ下目サワガニ科に分類されるカニの一種で、日本の固有種です。

唯一、一生を淡水で暮らすカニで、青森県からトカラ列島まで分布していて、綺麗な川の上流から中流にかけて生息しています。

体長は20~30㎜、脚を含めると50~70㎜程です。

体色は甲が黒褐色で脚が朱色。全体が青白く紫がかかったものもいますが、地域によって差があるようです。

甲羅には突起物がなく、滑らか。

 

オスは右のハサミが左のそれよりも大きく、稀に左の方が大きい個体もいます。

雨の日など、湿度の高い時には川から離れて森林の中や路上にいることもある活発な動きをします。

 

活動するのは春から秋までで、冬は川の近くの岩陰で冬眠しています。

食性は雑食性で、藻類や水生昆虫、陸生昆虫類、カタツムリ、ミミズなどなんでも口にし、天敵はヒキガエル、アカショウビン、カワセミ、サギ類などです。

地域によってはイタチやイノシシなども当てはまります。

サワガニの繁殖と卵

繁殖期は春から初期にかけてで、交尾を行ったあとメスは水中から出て、湿ったところに穴を掘って、生活し始めます。

2㎜程の卵を30~70個ほど産卵し、腹脚に抱えて保護します。

 

卵は粒が大きく、他のカニと比べると産卵数も少ないと言われ、孵化までは30~40日かかります。

孵化が近づくと母ガニは水中に移動し、流れの緩やかな石の下などで、孵化を待ちます。

 

卵が孵化した時、幼体はすでにカニの姿となっていて、生まれた稚ガニはその後も1~2週間は母ガニの腹部で過ごします。

生まれた時は全てのカニが淡黄色をしていますが、エサや照度、底質の色などの生息環境の要因によって左右され、生息する場所ごとに違う色合いのサワガニが生息します。

 

性成熟するのには3~4年程かかり、その後、毎年出産を繰り返していくのです。

サワガニ科に分類されるカニはサワガニしかいませんが、モクズガニというカニも普段はサワガニと同じく川に生息し、産卵する時だけは下流や海との合流点付近まで下ります。

モクズガニの卵は直径0.3~0.4㎜程で、6年程の寿命の間の産卵数は20万~100万個ほどと言われます。

 

0.4mm程のゾエアと言われる幼生になると水中に放たれ、ゾエアはそこで数回の脱皮を経て成ガニに成長するのですが、この時に多くが捕食され魚のエサになり、生き残るのはごくわずかです。

 

モクズガニの産卵と比較しても、サワガニの産卵数は非常に少なく、またカニ全体でみてもかなり少ないというのがサワガニの卵の特徴です。

他のカニのように小さい卵を沢山産み、大量の稚ガニを海域へ放出して分布を拡大するのとは違って、大きめで少ない卵をしっかりと稚ガニの状態まで抱えて大事に育てるのがサワガニの子育てなのです。

飼育下でのサワガニの繁殖

雌雄のサワガニを一緒に飼育する場合、メスは抱卵する可能性があります。しかし、実際に飼育下で孵化することはほとんどないようです。

それは、サワガニの孵化にはかなり厳しい条件が必要になるからです。

条件が合わないと卵は親ガニからこぼれ落ち、そのままサワガニのエサになってしまいます。

産卵までは見ることが出来ても、孵化を見るのは難しいでしょう。

サワガニの子育て方法を見てもわかるように、サワガニの産卵はかなりデリケートなものであることがわかります。

(ライター ナオ)