ペンギンオイルという言葉、聞いたことがありますか?
一瞬背筋がゾゾっとした方もいることでしょう。そう、実は人間はペンギンから油を摂って燃料にしていたことがるんです!
ペンギンの特徴
ペンギンは鳥鋼ペンギン目ペンギン科に分類される、主に南半球に生息する海鳥です。
跳ぶことが出来ず、かつては人鳥(じんちょう)などと呼ばれていたこともあります。
主に南極大陸で繁殖するのはコウテイペンギンとアデリーペンギンの2種。
ジェンツーペンギンとマカロニペンギン、ヒゲペンギンの3種は南極大陸の中でも比較的温暖な南極半島にも繁殖地がありますが主な繁殖値は南極周辺の島です。
最も低緯度に生息するのは赤道直下のガラパゴス諸島に分布しているガラパゴスペンギン。
現生しているペンギンの中での最小種はコビトペンギンで体長は約40㎝。
最大種はコウテイペンギンで体長は100~130㎝に達します。
ペンギンの生態
ペンギンは陸上ではフリッパーと言われる羽をばたつかせながら歩きます。
氷上や砂浜などでは腹ばいになって滑り、これをトボガンと言います。
海中では翼を羽ばたかせて泳ぎ、ペンギン類で最も速く泳ぐジェンツーペンギンの巣ちゅう速度は最大で時速36㎞にも達します。
いるかのようにジャンプすることもあり、水中から陸に戻る時は一旦深く潜って勢いをつけて飛び上がります。
食性は肉食で、魚類、甲殻類、頭足類などを海中で捕食します。
一方天敵はシャチ、ヒョウアザラシ、サメなどで、これらの敵を避けペンギンは陸上で繁殖をします。
卵は1~3個でオスとメスで抱卵をします。
コウテイペンギンはクレイシュというヒナ同士の集団を作ります。
羽毛が抜け替わる時期には海に入らず、絶食状態で陸上に留まる種類もいます。
ほとんどのペンギンは他の鳥類と同様に春から秋にかけて繁殖しますが、最大種のコウテイペンギンは60℃に達する冬の南極大陸で繁殖します。
日本にいるペンギンの種類
野生のペンギンは南半球にしかおらず、北半球では飼育されるペンギンがいるだけ。
全世界に18種類の生息する種類のペンギンのうち日本では11~12種類のペンギンが飼育されていると言われています。これは最大のペンギン飼育数で、日本人にとってペンギンは馴染みの深い動物の一種になっています。
ペンギンから採れる油
そんな愛着のあるペンギンですが、実は燃料として存在していたという事実もあるようで・・・・。
確かに寒い地域に棲んでいるペンギンたちはあの冷たい海に潜り、氷上に上がった時に体温を奪われずに済んでいるのかを考えると大量の皮下脂肪があるに違いないわけなのですが・・・・。
ペンギンたちは寒さから身を守るために、羽を立てたり寝かしたりして体温調節したり、尾羽根の付け根にある皮脂腺から出る脂をくちばしで掬い取って絶えず体の表面に塗り付け、更に保温力をアップさせたりしています。サイズの大きいキングペンギンの皮下脂肪の熱さは2㎝にもなり、これはかなりの量です。
これらの油を燃料として使っていたという事実はイヌイットたちの暮らしの中では普通にあったことなのです。
ただし、ペンギンオイルはアザラシやクジラの油に比べるとあまり良くなく、皮なめしや灯油、石鹸の材料などとして使われていたようですが。
しかし、1867年頃、このペンギンオイルが産業として大々的に行われるようになると、7イワトビペンギンやジェンツーペンギン、キングペンギンなどが犠牲になり、中でもイワトビペンギンはこの産業によって6つの島の繁殖地が全滅してしまいました。
当時一羽のイワトビペンギンから採っていた油は0.5l程。
ペンギンオイル産業が栄えた16年間で犠牲になったペンギンは500万羽。
ペンギンオイル産業は1930年代までの間に終焉を迎えましたが、今でもフォークランド諸島などではペンギン油を摂るための釜を備え付けた作業小屋が島のあちこちに残っています。
(ライター ナオ)