私たちにとってミジンコは実に身近な存在。

理科の実験生物としてや教科書などには度々登場する生きものです。

今回はそんなミジンコの生態と卵の特徴について詳しくお話します。

ミジンコの特徴と生態

ミジンコは水中でプランクトンとして生活する微小な甲殻類です。主にミジンコと言われている種類としてはカイミジンコ、ケンミジンコ、ミジンコなどがいます。

世界中に分布していて、日本でも全土の浅い池沼に生息しています。

中型種で体長は1.5~3.5㎜。

体は頭部を除いて二枚貝のような背甲に覆われていて、横から見るとひよこのような形をしています。

 

背甲の下に卵を抱えて孵化まで保育します。

ミジンコ目全体の特徴ですが、ミジンコに見られる大きな眼は横から見ると左右あるように思えますが、実際は左右が融合した1つの複眼で、正面から見るとまるでお化けのよう。

 

頭部にははっきりとした吻があり、その下に短い第一触角があります。

体を覆う甲は広卵形で後方の縁には細かな棘が並びます。

後端にある棘状の突起は甲羅の長さの4分の1以下、もしくはない場合もあります。

ミジンコの種類

一般にミジンコと言われている種類はダフニアミジンコというものです。

日本のありとあらゆるところに生息し、教科書に登場するのもこの種類であることが多く、魚の餌として与えることも多い種類です。

 

採取も簡単で、耐久卵がネット販売されていることあります。

ケンミジンコは見た目がダフニアミジンコとはだいぶ違い、えびのような姿をしています。

動きが非常に素早いのが特徴です。

 

タマミジンコは体が柔らかく活発に泳ぎまわるので、魚のエサとして非常に適している種類です。ダフニアミジンコと同じく、魚のエサに適していて、ネットなどでも簡単に手に入れることができます。ダフニアミジンコとの違いはよく見ると体の形が丸みを帯びていること。

ミジンコの卵

ミジンコは自分と同じクローンしか生まない単為生殖をおこなう時期と交配して子孫を残す有性生殖期があります。

一般的に通常はメスを産み、生存危機が迫ったときにだけオスを産んで交配すると言われています。

 

普段はメスが単為生殖による産卵をし、環境が悪化するとオスが表れ、オスとメスの交尾によって耐久卵が作られることがあります。環境の悪化とは水温、日照時間、水量の変化などです。

 

耐久卵はその名前の通り非常に耐久性があり、乾燥にも強いのが特徴です。

生息場所である田んぼなどに水が無い季節はこの、乾燥に強い耐久卵を産み落とし子孫を繁栄させるという作戦です。

 

耐久卵は母親の脱皮時に生み落とされて水底に沈みます。乾燥だけでなく、凍結にも耐え、ゾウミジンコの耐久卵では35年間の後孵化したという報告もあるほどです。

またミジンコの卵は親であるミジンコの体内の中でとても目立つ存在。

透明な母体に対して耐久卵は黒色で外敵は簡単にその存在を見つけ、捕食してしまいます。

 

しかし、それこそがミジンコの作戦!もともと耐久卵は生息環境の悪化したときに作られる卵ですから、他の生物によって食べられ、運ばれることによって新しい適切な環境で分布することを狙っているのです。

母体は我が身をすてて種の繁栄を選んでいるというわけ。

耐久卵の商品化

ミジンコの耐久卵は商品として販売されています。

飼育用のキットとしても販売されていて、すぐに孵化させない場合は数年間冷蔵庫などで保存しておくことができます。

 

また、すぐに孵化させたい場合は15~25℃の温度を加えます。水温が低すぎると孵化した後に死んでしまう倍も多く、逆に高すぎるとなかなか孵化しづらいという現象が起こります。

意外に奥の深いミジンコの世界。

生きるための知恵が小さな体にびっしり詰め込まれているような気がします。

(ライター ナオ)