ナメクジはジメジメした土の周辺などにいることが多く、その粘液と得体の知れない姿かたちによってあまり好かれているとはいえません。
ナメクジはどこからどのように発生するのでしょうか?
ナメクジの種類とナメクジ化
日本国内には約10種類ほどのナメクジが生息しています。外来種も多く存在しています。
わりあい見つかることが多いナメクジに、チャコウラナメクジがいます。
体の色は茶系で長さは70mmほどです。体には丸い部分がうっすら見えます。
これは殻の名残りです。カタツムリとナメクジは違う生物のようですが、陸生の軟体動物という点では似ています。
殻をなくす方に進化したものをナメクジと呼び、それをナメクジ化といったりします。
このチャコウラナメクジは、恐らくまだナメクジ化の途中なのでうっすら殻が見えます。チャコウラナメクジは外来種です。
また、ナメクジの得体の知れない雰囲気を助長するものとして「ナメクジ」というよく分からない名前があります。
舐めたように這うからナメクジだとか、姿がくじらに似ているからという説もあります。
蛞蝓という漢字も難しく読めない漢字のひとつです。蛞蝓の別の呼び方として、ナメクジラやナメクジリというものもあり、これは夏の季語だそうです。
ナメクジの体つき
初めてナメクジを見た人はきっと驚いたに違いなく、それが生物だとは認識できなかったのではないでしょうか。
なんせ足もなく殻もなく何もないように見えながら、周辺の土地や山の中などでどこからか出てくる生物です。
ナメクジも生物ですので、もちろん生息に必要な器官は備えています。
頭部に大触角と小触角をもち、大触角には眼があります。視力はほぼないようです。
おろし金状の口があり、野菜や腐葉土などをけずりとるように食べます。これらは頭の部分にあります。
頭の後ろの方には、肺孔という孔がありナメクジの肺とつながっています。
ナメクジは肺呼吸です。ナメクジの後ろの部分は足、と呼ばれています。
餌は野菜ややや傷んだ葉など植物性のものを好み、乾燥と極端な高温と低温は苦手です。夕方から夜間や薄暗い場所を好み、移動スピードはとても遅いです。
皮膚はうすく、移動する際には、摩擦から体をまもるためなのかナメクジの通った後にはてらてらした粘液が残ります。また、だいたいの種が雌雄同体です。
ナメクジの一年
ナメクジの成体は春先になると土のあたりに30個ほどの丸い卵を産みます。
卵の大きさは5mmほどです。孵化したナメクジは3~5mmくらいのことが多く、殻のないカタツムリのような姿で可愛いといえなくもありません。
最初は周辺の腐植土のような柔らかいものを食べて大きくなります。
梅雨時期になるとナメクジは成長し、夏頃には成体になります。気温によっては冬にも姿をみかけることもあります。
カタツムリと類似しますが、交尾にひどく時間がかかることもナメクジの特徴です。雌雄同体のため交尾は必要ないかと思いきや、場合によっては交尾を行うこともあるようです。
ナメクジの場合は雌雄同体であり、オスの生殖機能とメスの生殖機能が同時に成熟します。
また、雌雄同体にも種類のようなものがあり、ナメクジの場合は1個体が持つオスの生殖機能とメスの生殖機能が同時に成熟することから、同時的雌雄同体などともいわれます。
途中で性転換する生物もいますが、そのような場合は環境などにより性別が変わる現象のようなもので機能的雌雄同体といわれます。
ナメクジの交尾に必要な行動は精子嚢の交換です。
精子を体内で受精させ、産卵に適した時期になると産卵します。
ナメクジは交尾に時間がかかりすぎることを除き、実に効率的に子孫を増やすことができる機能を備えています。
ナメクジに塩
ナメクジに塩をかけると死んでしまう、という話があります。
濃度の濃い液状のものが細胞にかかると、細胞内と外の濃度調節を行う働きがおきます。
細胞の状態を正常に保つためのホメオスタシスです。
ナメクジのように皮膚が薄く体内の水分が多い生物は、その調節機能のため水分が出てしまいます。
ナメクジに塩水や濃度の濃いものをかけると縮んでしまいます。確実にナメクジを駆除したいときは、割りばしなどでつまむか、逆さにした植木鉢などに野菜などを入れておくと寄ってくる場合があります。
ナメクジはどこからともなく出てくるわけではなく、卵から発生します。しかし、その生態は謎につつまれています。
(ライター:おもち)