暖かくなってくるとカエルの鳴き声が聞こえてくることがあります。
都会のど真ん中ではそれほど聞く機会はないかもしれませんが、田舎で近くに田んぼなどがあれば毎日のように聞くことができます。
「カエルの合唱」という言葉があるように、声から判断するだけでもかなりの数が同時に鳴いていることがあります。
しかし日本にいるカエルにも様々な種類がおり、その中に「ウシガエル」というカエルがいます。
このウシガエルの合唱が始まると季節を感じるどころかうるさく感じるほどの音量になります。
この他ウシガエルにはいくつかの問題があります。
特徴は大きな体ですが、このウシガエルが産む卵にも見分けることのできる特徴があります。
ウシガエルの生態
ウシガエルは田んぼの他川の近くや池、湖などに生息しています。夜行性であることと、もともと暗い場所を好む性質を持っているため草の茂みや土管のような影のある場所で日中も身を隠しています。
日本に加え韓国やタイなどのアジアや、ヨーロッパにも生息しているものの本来はアメリカ・カナダ・メキシコに分布していた生物です。
これが外来種として定着した結果日本でもよくいるカエルになったのです。ウシガエルが日本にやってきたことは実はあまり好ましいことではなく、在来種にとっては危険な存在となっています。その原因はまず体が大きいことです。
ヒキガエルやアマガエルと比べてもかなり大きく、突然ウシガエルがやってくることで力関係が変わってしまったのです。
さらにウシガエルが生態系を破壊しているもう一つの理由には食性が関係しています。
ウシガエルの捕食対象は広く、昆虫や魚類・甲殻類・鳥類など他にも様々なものを食べようとします。
同じウシガエル同士でも食べようとします。
もはや好みの食べ物を食べようとするのではなく、口に入るものであればなんでも食べようとするようです。
侵略的外来種に指定
ウシガエルの貪欲な食性は生態系を壊すとして世界的に侵略的外来種として指定されています。
脂身が少なく鶏肉に似た味として食用ガエルに使われており、そのため養殖していたものが逃げて繁殖したと考えられています。
さらに実験用に使われたウシガエルが捨てられ野外に出ていったということも起こっていました。
その影響として在来のカエルが減少してしまうことにもなったので現在では輸入が禁止されている国も出てきました。
ウシガエルはどんな卵を産む?
カエルは一般的に完全な陸上生物のような硬い殻に覆われた卵は産みません。
水のある場所で最低でも千を超える数の卵を産みます。
ではウシガエルはどのような卵なのでしょうか。
産卵の時期は主に6月から7月で、数万個の卵を産むことが多いようです。
さらにその卵は寒天のようなものにやんわり包まれています。
ヒキガエルなどと比べると産卵する卵の数もかなり多く、ヒキガエルがひも状に連なった卵であるのに対してウシガエルは大きな塊として水面に広がります。
そして1週間ほど経つと孵化します。ウシガエルのオタマジャクシも他と比べてサイズはとても大きく、この状態でも見分けることはできるでしょう。
ウシガエルは大きな塊として水面に産卵する
ウシガエルそのものの発生時期は5月から9月頃です。「ブオー」と大きな声で鳴いているので活動を始めるとすぐに気づくことが可能です。
かなり遠くにまで届くほど大きな声で、騒音問題にもなっています。
しかしこれはウシガエルが繁殖するために大切な行為であり自分の存在をアピールし生殖活動を行うためなのです。
そして産卵された卵は寒天質の膜に覆われ、無事孵化するまで外界から守る役割も果たします。鳴き声が聞こえたら一度観察してみても良いでしょう。