みのむしはみの、とよばれるものに包まれています。
みのは、漢字で書くと蓑であり、雨を防ぐためにワラやカヤ、しゅろなどの木や枝などでつくられた、雨合羽のようなものです。
そんなみのむしを駆除したい場合、どうすれば有効なのでしょうか。
みのむしの生活
みのむしの存在にはじめに気付くのは、秋の終わりごろ柿の木などの枝にぶら下がっている、木の小枝のようなものに包まれた物体を見た時だと思います。
中にいるのはミノガという蛾の幼虫です。越冬するためにあのように身をくるむのです。
木の枝に下がっていることから鳥類の餌になることも多く、特にシジュウカラは、みのをつつき中のミノガの幼虫を引っ張り出して食べてしまいます。
また、寄生バエの餌食になることもあります。ミノガの幼虫はみのに包まれていますが、ずいぶんわかりやすい場所なので捕食対象になりやすい状態でもあります。
近年著しく数を減らしているらしいみのむしの種類は国内に約15種ほど生息しているとされ、よく見られるのはオオミノガなどです。
オオミノガは北海道を除くほぼ全国に生息しています。
みのの製作と中身
みのを作るのはミノガの幼虫自身です。ミノガの幼虫がみのを作る時期は、主に春と秋です。
気温が高い時期に木の葉を食べますが、その時はみのの上の方に少し頭をだせるようになっています。
ミノガのオスの幼虫は十分食べると上の穴をふさぎます。みのの中でくるりと回転し、上下を変えます。
その姿で脱皮し、初夏には蛹になります。しかしこれは全てみのの内部で行われており、外からは見えません。
ミノガのオスは成虫になってみのから出る時、この蛹の下に空いている穴から出てきます。
ただし、成虫となり蛾の姿になるのはミノガのオスのみです。
越冬するみのむし
ミノガの幼虫は最後の脱皮をする頃になると餌である木の葉を食べず、口から糸を吐き、越冬に備えてみのをより丈夫にします。
みのを枝などにくくりつけて落ちないようにします。
冬になると、みのむしのみのは、縦が約1cmほどの茶色い枝や何かでくるまれたものに見えます。
ミノガは幼虫の姿で越冬します。
越冬後のみのむし
越冬できたみのむしの幼虫は、翌年の春になると蛹になります。
このあとすんなり羽化し成虫になるかというと、そうでもありません。
ミノガのオスは翅をもった成虫の姿になりますが、メス蛹の姿のまま木の枝にぶら下がっています
中のミノガのメスは姿は幼虫とあまり変わりません。
ミノガのメスは、翅のついた蛾にならないわけですが、蛹の下の方には穴が開いています。
中のメスは頭の部分が下にあり、そこからフェロモンを分泌しているとされ、ミノガのオスは、交尾器を蛹の下の穴から差し込み交尾を行います。
ミノガのオスは非常に小さい身体つきなので、体を蛹の中に入れ込むようにして頑張ります。
ミノガのメスは、蛹のなかに数1000個もの卵を産み、約1週間から2週間で幼虫が孵化します。
ミノガのメスは交尾と産卵を終えると、蛹とともにだんだん干からびていき、死亡します。
ミノガのオスも交尾が終了すると死亡します。ミノガのメスは、みのや蛹の殻の中で一生を送ります。
みのむしの餌
孵化したミノガの幼虫たちの餌は、ミノガのメスの体です。死亡した母みのむしの体を食べて幼虫たちは成長します。
そして、みのの外にでられるくらいまで成長すると、口から糸を吐き、みのからぶら下がった状態になります。風が吹くと糸が切れて、あちこちに飛ばされます。
ミノガは風媒花の種のようにばら撒かれます。
その後は、また木の葉や枝や糸などを利用してみのをつくり、ミノガの幼虫はみのむしになります。みのむしは、常に何かに包まれています。
ミノガの駆除
みのむしが駆除対象となるのは、このようにばらばらに散り葉を食べて成長していく時期です。
主にオオミノガとチャノミガの幼虫です。6月から7月の年1度発生し、葉を食べまくってしまいます。
みのが固定されると取りにくく、ミノガたちはみのの中で交尾、産卵、孵化を行いますから、その前に取り去ります。
オオミノガの幼虫は雑食性でなんでも食べます。基本的に幼虫が大きくなる前に取り去ります。
みのはどれも似た感じのものに見えますが、それぞれ特徴があります。
小枝で作られているみのがオオミノガで、ベージュの葉のようなもので作られている蓑はチャノミガの可能性が高いようです。
みのむしの生態
みのむしはだいたいの時期をみのの中で過ごします。
どうもわからないのは、枯れ木の枝にみのをつくると、明らかに目立つであろうことです。
餌がありますよ、と言っているようなものではないでしょうか。
みのむしの生態には不思議なことが多いようなので、ちょっとした小話にいいかもしれません。
(ライター:おもち)