みなさんは、「キョン」という生き物をご存知ですか?

名前だけ聞くと、鳥や小動物の名前のように思えますが…じつは、小型の「シカ」のことなんです。

 

野生にも生息している生き物なのですが、名前すら聞いたことがないという人も多いでしょう。

そんな人のために、今回はキョンの生態や鳴き声などについて、詳しく見ていきたいと思います!

キョンってどんな動物?

キョンは体長70㎝~100㎝ほどの、小さなシカの仲間です。

体長100㎝ってどのくらいだろう…という人は、中型犬くらいの大きさをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。

シカとしてはかなり小さいですね。

ニホンジカと比べると足や首も短く、デフォルメされたぬいぐるみのような可愛い見た目をしています。

…が、このキョンはなかなか厄介な生き物なのです。

 

本来の生息地は中国東部や台湾であり、日本にキョンは生息していませんでした。

しかし近年、国内でも動物園から逃げ出したと思われる個体が繁殖し、なんと現在では5万頭以上がいるとも言われています。

 

動物園から逃げ出したって言っても、せいぜい十数匹ほどでしょうに…それがこんなに増えるなんて、その繁殖力に驚きますね。

メスは生後半年で既に妊娠可能なんだとか…。

 

日本にはシカを襲うような動物はクマくらいしかいませんが、キョンが増殖している千葉県や伊豆大島にはクマがいません。

そのため、これといった天敵もおらず爆発的に増殖してしまったと思われます。

ただ増えるだけならそんなに心配する必要もないのですが、問題なのは農作物や自然植生への食害や交通事故。

 

キョンは草食で木の葉や果実などを餌としますが、ニホンジカが食べない植物までをも食い尽くし、人への警戒心の薄さから庭の樹木や花壇の花などまで食べるそうです。

そして道路へ飛び出て車とぶつかり、交通事故になることも。

日本は山ばかりだから食べ物には困らないし、天敵もいない…となると、爆発的に増えるのも頷けますね。

 

毎年数千頭が駆除されているようですが、生息数は増加の一途を辿っているのだとか…。

キョンvs人間の戦いは、まだまだ終わりそうにありません。

キョンの鳴き声

キョンは食害だけでなく、その鳴き声でも人々に悪影響を与える存在です。

敢えて鳴き声を文字で表現するならば、犬のような「ウォーン」という感じですが…。

実際には犬よりも不気味で、気持ち悪い鳴き声です。

 

しかも声が大きい上に夜にも鳴くので、キョンの声がうるさくて眠れない…という人もいるそうです。

もしキョンの鳴き声だと知らない人が暗闇から聞こえてくる声を聞いたら、絶対に恐怖を感じてしまうでしょう。

聞きようによっては人のうめき声っぽくもあるので、ちょっとしたホラーですね。

食材としてのキョン

年間数千頭ものキョンが駆除されているのですが、ただ殺すだけでは命に申し訳ない気がしますよね。

そこで何か有効利用ができないのかと思って調べてみると、キョンは食用肉として食べられるということが分かりました。

原産国である中国では、普通に食用として食べられているそうです。

 

確かに日本でも鹿肉はジビエとして割と食べられている食材ですし、同じシカの仲間であるキョンのお肉も食べられそうですね。

(生きている可愛らしい姿を見てしまったら、食べるのを躊躇してしまいそうですが…)

 

現地では炒めものなどにして食べるそうです。

国内でもごく一部のフレンチレストランなどで食べられるそうで、シカ肉よりもあっさりしていて癖がないんだとか。

 

ジビエ特有の獣臭さが苦手な人でも、もしかしたら食べられるかもしれません。

これからもどんどん駆除が進められると思うので、それに伴って食肉としての利用も広がるといいですね。

キョンについてのまとめ

名前すら聞いたことがなかった謎の生物キョン。

それが数年でこんなにも増殖し問題となっている生き物だとは思いませんでした。

このままいくと、全国的にキョンが見られる日も近いかもしれません。

(ライター もんぷち)