雄ライオンの鬣はライオンのメスでなく人間のメスでも!?

かっこいいと思うものですが、一体この鬣って何の為にあるのでしょう?

防衛のための鬣

進化論で名を馳せているダーウィンはライオンの鬣はオス同士の喧嘩の時に首周りを守るためにあるとしています。

しかし、実際に鬣のないライオンの模型を使った実験では、オス同士の戦いの時、首周りを狙うことは無かったと報告されています。

オスはまず、相手の背中にとびかかっていき、急所を狙うことは無いのだそうです。

オス同士の激しい喧嘩やなわばり争いでも、相手が致命傷に至るほどの戦いはないと言われています。

だとすると、「防衛のための鬣」という説は簡単に崩れてしまいます。

シンボルとしての鬣

ライオンの鬣について研究しているペイトン・ウェスト博士の説によると、ライオンの鬣は防衛のためではなく、強さを象徴するシンボル的役割があるとされています。

強さの象徴は鬣の色で判断されるのだそうで、鬣が黒くほどメスはオスを強いとみなし、近づいていくのだそう。

実際鬣の長さが同じで色が黄色のライオンと黒のライオンの模型を2体用意すると、メスは10回のうち9回は鬣の黒い色のライオンに近づいて行ったそうです。

 

これは、オスが敵を倒して自信がついたときに脳から精巣に送られる信号に左右されると言われ、テストロンというホルモンの分泌がよりライオンの鬣を長く、黒くしているのだそうです。

 

容姿や鬣の長さが問題ではなく、要は色なのだそうです。

オスは争いによって強さを示すのではなく、鬣の色でアピールすることで無駄な争いを避けているとも考えられます。

鬣を捨てたライオン

アフリカ大陸のケニア共和国、ツァボ国立公園というところに生息しているオスのライオンは鬣が短く、色も薄いのが特徴です。

オスのシンボルである鬣がほとんど発達していないのです。

こんなオスはエサをメスの狩りに頼るのではなく、オス自身も狩りを行います。

 

つまり、男女平等社会!?現在の日本社会のような共働き社会です。

何故そんなことが起こっているのかというと、それはケニアという場所の気候のためだと考えられています。

 

ツァボ国立公園のある辺りは非常に気温と湿度が高く、ライオンたちが生きていくにはとても厳しい環境です。狩りを行っても、すぐにエサを食べず、一旦木陰などで休憩をとってから、再び獲物を食べに行くという始末。更に、食べている途中でも木陰で休憩をとったりします。

 

オスの鬣は体温をさらに上げる原因のひとつです。また、藪の多いツァボの環境では、移動する度にオスの鬣は木や枝に引っかかってしまうちょっと厄介な存在でもあり、長い年月をかけて徐々にオスの鬣は

 

短く、薄い色になっていったというわけ。

つまり、ツァボのライオンたちは進化の過程で長い鬣を捨て、自分も一緒に狩りをするという選択をしたという訳なのです。

 

人間社会を基準にしてしまえば、先進的と言えば先進的!?

雄ライオンは暑さを我慢して格好をつけ、黙って運ばれてくるエサを待っているという一種封建主義的な生き方を選ばなかったという訳ですから・・・・。

ライオンの鬣に関するあれこれ

オスライオンの鬣は1歳頃から徐々に生え始め、4歳くらいまでには立派な鬣になると言われています。

この頃がオスライオンの結婚適齢期。丁度成熟した時期ということになります。

 

ライオンの寿命はオスで10年未満と言いますから、出生4~7年の時期が一番男らしい時期だともいえるのです。

ちなみにメスライオンの寿命は15~20年、飼育下の出の寿命は20~25年程度と言われています。

野生下で年齢を重ねたオスはオス同士の闘争の傷跡が原因で命を落とすことも少なくないそうです。

(ライター ナオ)