子供の頃沢山遊んだ草むらには、多くのバッタたちが跳びまわっていました。

体の大きなバッタから、細長いバッタ、米粒みたいなバッタがビョンと大きく跳ねたりして、何時間いても飽きない場所が公園の脇にある草むらでした。

交尾の時にオスがメスに乗っている状態をオンブバッタと言っていたのですが、実はオンブバッタという種類が実際にいることを知ったのは、もう少し大きくなってからのこと。

今回はショウリョウバッタとオンブバッタの違いについてお話しします。

ショウリョウバッタの特徴

ショウリョウバッタはバッタ目バッタ科に分類される昆虫で、日本に分布するバッタの中では最大種です。

斜め上に尖った頭部が特徴で、ショウジョウバッタともいわれます。

日本全国に分布していますが、北海道へは20世紀後半頃から分布するようになりました。

 

オスの成虫は体長が5㎝前後で細身ですが、メスの成虫は8㎝程もあり、触角から伸ばした脚の先までとなると14~18㎝にも達します。

メスは日本に分布するバッタでは最大で、オスとメスの大きさが極端に違うのも特徴です。

 

頭部が円錐形で斜めにとがっていて、先端に触角が2本つきます。

他の種類のバッタと比べると前後に細長い体型で、体色は周囲の環境に擬態した緑色が多いですが、茶褐色の個体も見られます。

 

オスの成虫には目立った模様はありませんが、メスの成虫は黒白の縦帯の模様が入っていることが多いようです。

食性は植物食で、特にイネ科の植物を好んで食べます。

 

オスの成虫はキチキチキチという鳴き声をだしながら飛びますが、これは前後の羽を打ち合わせていることによって発せられています。

メスはほとんど飛びません。

 

成虫は秋に産卵すると死んでしまい、卵で越冬します。

翌年の5~6月に孵化し、6~7月にかけて羽化します。幼虫には翅がついておらず、成虫になると共に翅が発達していきます。

オンブバッタの特徴

オンブバッタはバッタ目オンブバッタ科に分類されるバッタで、メスの上に押すが乗っている姿が日本全土で見られます。

成虫の体長はオスが25㎜、メスは42㎜前後で、バッタとしては小型の部類です。

頭部は先端がとがり、先端部分に触覚と複眼が並んでついています。

 

体色は緑色と淡褐色の二通りあり、茶褐色系の個体ではピンク色に近い個体も見かけます。

食性は植物食ですが、多くのバッタがイネ科の植物を好むのに対し、オンブバッタはクズ、カナムグラ、カラムシなどの葉の広い植物を食べます。

 

オンブバッタの最大の特徴であるメスの背中にオスがのっている姿は、他のバッタの交尾の際にも見られますが、大抵は人間が近づくと慌てて離れるのに対し、オンブバッタの場合は交尾以外でも乗っている上に、人間が近づいても簡単には離れません。

 

これはオスが子孫を残すメスを独占する為にずっと乗っているのだと考えれています。

メスをめぐってオス同士の戦いをすることもあります。

オンブバッタはメスもオスも飛ぶことはできませんが、ピョンピョン跳びはねることはできます。

ショウリョウバッタとオンブバッタの違い

両者の違いは、まずその大きさです。大きなメスでさえもショウリョウバッタのオスにはかなわないほどの大きさの違いがあります。

また、飛ぶときに大きな音を出しながら飛べば、それはショウリョウバッタです。

 

食性の違いから、生息している場所も違ってきます。

葛などの植物の多い場所にいるのは、オンブバッタの可能性が高く、近づいても離れなければ、更にその可能性は高くなります。

他にもよく見ると体に入っている模様の違いなどもありますが、わかりやすいのは以上の点だといえるでしょう。

(ライター ナオ)