ヒラタグモという蜘蛛をご存知でしたでしょうか?

今回はヒラタグモについて詳しくお話します。

ヒラタグモの特徴

ヒラタグモはクモ目ヒラタグモ科の唯一のクモです。

体長は9~10㎜で、本州、四国、九州、南西諸島に分布しています。

 

頭胸部と脚は赤褐色で、腹部は黒い地色に腹部の周囲に沿って白い模様があります。

また、形が卵形で扁平なことからヒラタグモの名前が付けられました。

眼は8個あり、先端近くの背面に固まって集まっています。

 

脚はほぼ中程度ですが、第一、第二脚が前へ伸びながら先端が外向きに開いているのが特徴的です。

腹部中央の黒色部に小さく赤い点が四角形を描くように4つあります。

 

後ろが尖ったホームベース型のような形をしており、こちらも扁平。

外縁は黒く、内側が真っ白で、その中央に大きな黒い斑紋がありますが、個体差があり、斑紋が全くない個体もいます。

 

家屋の外壁や雨戸の内側等に白色扁平で多角形のぼろ布を当てたような巣を作り、テント型ともいわれています。

巣を作る場所は平らな広い面のような場所で、2枚の糸の膜のようなものを組み合わせ、見た目はほぼ円形で、中央が少し盛り上がっているようなまさしくテントの形をしています。

輪郭はいくつもの突起を出し、荒い歯車の形をしています。

 

突起からは糸が出ていて、周囲の表面に張り付き、巣の表面には周囲のごみなどを付着させ、同化させています。

ヒラタグモは普段テントの中にいて、そこから動こうとはしません。

 

ヒラタグモの平たい体はこのようなテント型の巣の中に身を隠すにはちょうどい形なのです。

ここから何本者信号糸と呼ばれる糸を放射状に伸ばします。

 

長いものでは30㎝にも達し、この糸によって獲物を捕らえます。

獲物がこれに触れると、クモは住居から飛び出していって周囲を回りながら糸をかけ、獲物に糸を巻き付けて捕らえ、噛みついて住居に運び込みます。

また、時にはこの逆のパターンで捕らえることもあります。

 

生態は1年中見ることが出来、産卵は夏季に行われます。春から秋に散発的に行われ、卵は巣の中に柔らかな緯度でくるんだ卵塊として産み付けられます。

生態の寿命は2~3年と推定されています。

ヒラタグモと比較されるクモ

ヒラタグモに似ているクモは日本にはあまり生息していませんが、チリグモは巣の作り方が似ているのでよく比較されます。

しかし、見た目の区別は体長や模様が違うので容易。

 

チリグモはその名前の通り生態でも3㎜程度しかないチリのような小さなクモです。

目だった斑紋もなく、全身が灰色をしています。

チリグモもヒラタグモと同じように獲物を捕獲します。

ヒラタグモ科の最大の特徴

ヒラタグモの属するヒラタグモ科のクモは篩板(しばん)と呼ばれるクモ類が糸を造り出す器官のひとつを持っていません。

これは、お腹の部分の下面にあります。

 

現在生息する蜘蛛では篩板(しばん)を持っているクモの方が少ないと言われています。

この篩板(しばん)で作り出される糸は粘糸と同じ、粘性を持った糸なのですが、その粘着力は粘糸とは比べ物にならないほど弱いのが特徴です。

しかし、、独特で複雑な構造をしており、乾燥にも強い為、昆虫などの獲物の捕獲にはとても役立ちます。

 

篩板(しばん)から作り出す糸の製作にはかなりのエネルギーを必要とします。

現在生息するクモのうちでは、この篩板(しばん)を持たない蜘蛛の方が多いというのが事実。

そしてこの事実は、現在のクモの種類が多様化したことや大型の蜘蛛が増えたことの重要なポイントになっていると考えられています。

また、乾燥や高温への適応としてもし篩板(しばん)の存在の有無が関係していると考えられています。

(ライター ナオ)