ホッキョクグマは陸上では生態系の頂点に君臨する動物の一種。
しかし、唯一の天敵がシャチだと言われています。
ホッキョクグマの特徴
ホッキョクグマはクマ科クマ属に分類される食肉類です。
北アメリカ大陸北部、ユーラシア大陸北部、北極圏に分布しています。
体長は層が200~250㎝、メスが180~200㎝で体重はオスが400~600kg、メスが200~350kgです。
生息地によっても大きさに違いがあり、ロシアのチュクチ海に生息する個体群が最も大型化する傾向があります。
近年は地球温暖化の影響で小型化が進んでいて、1984年から2009年までの25年間でオスの平均体重が45kg、メスの平均体重が31kgも減少しました。
頭部が小さく、頸部が長いのが特徴で、ヒグマと比べると肩のあたりの盛り上がりが低く、爪も小さくなっています。
吻端と足裏の肉球を除いた全身が体毛で被われていて、夏季は汚れや油脂の酸化などにより毛衣が黄色っぽくなる個体もいます。
耳介は短く、寒冷地に適応しています。
出産直後の幼獣は体重が0.6kgほど。
氷海を何時間も泳ぐことが出来る体のつくりになっていて、小さい頭や長い頸部はそのためだと考えられます。
流氷に乗って長距離移動することもあり、クマの中では高い視力を持っています。
多くの哺乳類の体毛が白色でも光を透過しないのに対し、ホッキョクグマの体毛は光を透過して内部が空洞になった特殊な構造のために白く輝いて見えます。
太陽の熱が皮膚にまで届くようになっており、一度届いた熱は分厚い脂肪層と体毛に保護されて容易に失われることはありません。
それに加えて体毛内の空洞も蓄熱の役割を果たしています。
ホッキョクグマの生態
ホッキョクグマは流氷水域、海岸などに生息してい小野ます。
冬季には流氷の南下に伴って南へ下り、夏季には北へ移動します。
1日あたり70㎞を移動することもあり、年あたり1,120㎞の距離を移動した例も報告されています。
地域によっては直射日光、天候、外敵から逃れるための風通しの良い巣穴を作り、流氷の間を数時間に当たって泳いだり、時速6.5㎞の速度で約65㎞の距離を泳ぐことが出来ます。
雑食中であるクマの中で最も肉食性が強い種で、ヒグマに比べると歯が特化しています。
アザラシを主食とし、他に魚類、鳥類、その卵、イッカクはシロイルカなどの哺乳類、クジラなどの動物の死骸に加え、氷の解ける季節には植物も食べます。
アザラシは優れた嗅覚によって臭いを感知して見つけ出し、氷を掘り、巣穴にいる個体を襲います。
氷上にある呼吸用の穴や流氷の縁で待ち伏せし、氷上にいる個体に忍び寄るなどの方法をとります。
繁殖形態は胎生で3~6月に交尾を行い、妊娠期間は195~265日。
11~1月にかけて1~4頭の幼獣を産みます。
シャチとホッキョクグマの関係
ホッキョクグマは移動の為やエサを探すために水中を長い時間泳ぐことがあります。
その際、シャチに襲われてしまうことも少なくありません。
さらに、近年は温暖化の影響で海氷が激減したので、泳ぐ距離が長くなり、よりシャチに襲われるリスクが高くなっています。
一度海に入ってしまえばホッキョクグマに勝ち目はありません。
しかも、大きなシャチは10tもの重さのあるものもいますから、ホッキョクグマの体重と比べると10~15倍以上の重さがあることになり、到底かなうはずがないのです。
ホッキョクグマがシャチから身を守るには急いで陸に上がる以外に方法はなく、陸に上がってもそれが小さな氷塊だったりした場合は、簡単に襲われてしまいます。
陸上で生態系の頂点に達しているものでも、場所によってはその立場はあっけなく変わるということです。
ただし、シャチは積極的にホッキョクグマを襲っているわけではないようです。
肉食の哺乳類はアンモニア臭が強く、好んで食べるのはやはりアザラシやペンギン、クジラなのだそう。
(ライター ナオ)