カランコエ・テッサ。
面白い語感の名前ですね。
カランコエという花の一種です。
冬に開花するので、年末頃になると鉢植えを見かける花です。
カランコエ・テッサは少し鉢を揺らせば、鈴の音が聴こえそうな花をつけます。
カランコエ・テッサについて
カランコエ・テッサの花は釣り鐘のように下がって咲く事から、ベル形カランコエともいわれます。
もう一つのベル形カランコエはカランコエ・ウェンディという品種で、花は赤味のあるピンク系です。
どちらもオランダでつくられた品種だそうです。
円筒状釣形のカランコエ・テッサの開花時期は12月頃から4月頃までです。
花は見た目は下に向かって朱色~薄いオレンジ色のグラデーションになっており、灯の燈ったランプのように見えます。
そういえばランプはオランダ語ですね。枝は細くてひょろ長いので、花がより枝垂れて見えます。
多肉質の葉のしっかりした部分と花の揺れる感じの対比が面白い花です。
花の形態から、釣り型の鉢植えになっている事も多いようです。
カランコエ・テッサは短日植物です。
鉢植えの場合短日処理された株というものがあるようですから、買い求める際にはよく確認する事をおすすめします。
短日、長日といった性質は光周性とよばれ、どちらかというと日の当たる時よりも暗い時の方が影響しているようです。
植物ホルモンの一種、花成ホルモンが関係しているとされていますが、あまりよく分からないようです。
カランコエについて
カランコエ・テッサはベンケイソウ科カランコエ属です。
カランコエは亜熱帯から温帯などに広く分布し、特にマダガスカルやアフリカ東部に多くみられるようです。
花の色合いがカラフルな事などから日本での栽培も盛んで、温暖な気候を好む事から四国地方での生産が多いようです。
カランコエの別名はベニベンケイだそうです。ずいぶん勇ましいですね。
ベンケイソウ科のCAM構造について
水分が不足する環境下などにおいて生育の為に葉などに水分をためておくような事ができるのが、多肉質の植物の特色です。
その中でもベンケイ科というのは独自の仕組みを持っているとされ一般にCAM(カム)構造とされています。
Cはcrassulaceae(ベンケイソウ科)、Aはacid(酸性の)、Mはmetabolisum(代謝)です。
ベンケイソウ科の植物で初めて発見されたことからこの名前がついた事から、ベンケイソウ科型基礎代謝などともいわれます。
よく知られているように、植物は光合成という名の行動をしています。
植物にとっては必要不可欠な行動であり、植物の種類や生育地によって工夫を加えたりしています。
この光合成及びCAM構造の不思議さについても、私のようなものが下手に説明を加えるとよりわかりにくくなる為、詳しい説明は差し控えます。
光合成は光や水などを利用し自らエネルギーをつくる事のようなものですが、それからさらに炭素を固定化する工程があります。
これに使われる回路がCAM構造をもつ植物の場合、少し違うようです。
CAMの場合、昼と夜で使う回路を変えることが特徴です。
乾燥が続く時は代謝を低く抑える為気孔を閉じ、手持ちの二酸化炭素で生きています。
水分を摂り込む必要がある状態になると気孔を開きます。
利点は他の構造を持つ植物より水分のロスが少ない事です。
CAM構造を持つ植物は成長がゆっくりで、その代わり長生きです。
CAM構造は超省エネ、究極のエコ、みたいな感じです。
水分を調節すると共に、二酸化炭素をより効果的に固定する為の構造のようにも見えますね。
このCAM構造は他の被子植物にもみられるそうです。
例としてはパイナップル科のパイナップル、シダ類や裸子植物にもみられるようです。
多肉植物が全てそれを行っているという訳でもないようです。
多肉植物は一般にサボテンなどが入りますが、ベンケイソウ科やユリ科のアロエなども多肉植物の性質をもちます。
カランコエ・テッサの名前について
カランコエ・テッサの学名はkalanchoe tessaだそうです。
このテッサ、というのは何だろうかと思ったのですが、よく分からないようですね。
tessaとは女性の名前に使われる事があり、テレサの愛称でもあります。
カランコエ・テッサのテッサのもとはteresa(テレサ)かも知れませんね。
花の園芸種の名前に女性的な名前が付けられる事は少なくないようですから、何の根拠もない単なる感想ですが、全くの見当外れでもないかも知れません。
カランコエ・テッサの花は小ぶりですが、ゴージャスとまではいかない美しさというのはいかにも日本人に好まれそうです。
参考:『絵でわかる植物の世界』清水晶子著/講談社/2004
(ライター:おもち)