北海道では雪解けと同時に可愛らしい顔をのぞかせてくれる福寿草。

今回はそんな福寿草についてのお話です。

福寿草の特徴

福寿草はキンポウゲ科フクジュソウ属に分類される多年草で、別名をガンジツソウともいいます。

北海道から九州にかけて分布し、山林に自生します。

葉は細かく分かれていて、根はゴボウのようなまっすぐで太いものが多数ついています。

福寿草の花の時期

福寿草は初春に3~4㎝の黄色い花を咲かせます。

当初は茎が伸びず、包に包まれた短い茎の上にだけ花がつきますが、次第に茎や葉が伸び始め、いくつかの花を咲かせます。

 

この花は花びらを使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引する役割を果たすため、太陽光に応じて開閉します。

夏になると地上部は枯れてしまうので、それまでに光合成を行い、再び春が訪れるまでの間は地下で過ごすスプリング・エフェメラルです。

春を告げる花の代表として知られ、福寿草という名前には新春を祝うという意味も含まれているほど。

福寿草の歴史と品種

福寿草は江戸時代から多数の園芸品種も作られている古典園芸種です。

緋色や緑色の班をつける品種もあり、正月にはヤブコウジなどと寄せ植えされた鉢が販売されます。

ミチノクフクジュソウは蕚が花びらよりも短く、花ビラの先端裏が褐色に染まる特徴があります。

茎が分岐し、多花性になる個体に見られ、東北から九州、朝鮮半島、中国に広く分布します。

 

キタミフクジュソウは福寿草と似ていますが、1茎に一つの花をつけるタイプで、葉裏に毛が密に生えていることで区別されます。

北海道の北東部と中国、シベリア東部に分布します。

 

近年記載されたもので、福寿草に似ていますが、葉の裏や花托が無毛なことで区別できるシコクフクジュソウ。

四国と九州の一部に見られ、本州の一部にもあると言われています。

 

アドニス・ブレビスティラは中国白花クフクジュソウの名で流通しています。

セリのような葉を広げ、濁りの内白く可愛い小花を開きます。

耐暑性が弱く、栽培は高山植物に順次、中国西部の山岳地に分布します。

福寿草の利用

福寿草の根には強心作用と利尿作用があり、民間薬として使われることがあります。

しかし、副作用も強く、素人の利用は死に至る危険な行為です。

薬理作用、毒性はアドニンという成分によるものと考えられています。

福寿草の栽培

福寿草は落葉樹林の下や明るい木漏れ日を好みます。

鉢植えの場合、芽出しから開花までは午前中の日の当たる場所、葉が固まる頃からは緩やかな風の流れる明るい日陰や、木漏れ日の舌に置きます。

 

夏前位には落葉するので、地上部が枯れたら、棚下などへ移動させてゆっくりと休眠させます。

庭植えの場合も樹木の下の日当たり側か、落葉樹と落葉樹の間に植えこむと自然い繁殖し、春に先駆けて美しい花を咲かせます。

 

鉢植えで葉目出しから葉のある時期はたっぷりと水を与え、早い時期から開花するものは凍結により花ビラが傷むので、花に水がかからないように注意します。

花後の水やりは1日1回程度、落葉後は適度な湿り気を持つ程度に水やりをします。

 

庭植えの場合はほとんど水やりが必要ありませんが、乾燥の続くような時にだけ水を与えます。

肥料は植え付けの時に緩効性の肥料を与えるのと、芽が伸び始めた時に置き肥を擦るようにします。

2週間に1回程度、液体肥料を施すのも良いでしょう。

 

病気は灰色カビ病、炭そ病、ウィルス病などにかかります。また、冬芽の凍結による株元の腐れなども多く見られます。

また、ナメクジ、ヨトウムシ、アブラムシなどの発生にも注意が必要です。

 

秋の植え替えの時に株分けをして増やすことも出来ますし、花後の種を蒔いて増やすことも可能です。

種で増やす場合は花がつくまでに4年程かかります。

(ライター ナオ)