シクラメンは、「カガリビバナ」や「ブタノマンジュウ」とも呼ばれるサクラソウ科・シクラメン属に属する多年草です。
ここでは、シクラメンの病気について紹介します。
シクラメンの生態
シクラメンは、サクラソウ科・シクラメン属に属する多年草です。
地中海沿岸、ギリシャからチュニジアにかけて原種が自生しています。
シクラメンは、双子葉植物として分類されていますが、実際に土から芽を出すときは一枚しか出てきません。
また、子葉から数えて7、8枚目の葉が出たころから花芽の形成がはじまります。
ハート形をした柄の長い葉には白斑があり、花茎を伸ばし花をつけます。
日本では、秋から春にかけて花が咲きます。
シクラメンの季節と病気
シクラメンがかかりやすい病気は以下の通りです。
灰色カビ病
春~梅雨、9月下旬~開花期に発生することが多い病気です。
シクラメンの花びらに1~2ミリ程度の灰褐色の小さな斑点ができたり、葉柄や花茎、球根の付け根部分に灰色のカビが発生したりします。
対策は、風通しを良くしておくことです。
複数の鉢を並べるときは、ある程度の隙間をあけておくようにします。
もし複数の鉢を育てているときに、灰色カビ病が発生したら、発生していない鉢と、発生している鉢を別の場所に移動します。
発生が多くなる時期には、チオファネートメチル剤などを散布し予防します。
萎凋病
初夏~開花期までの期間に発生しやすい病気です。
梅雨以降に気温が高くなってくると、かかりやすくなります。
シクラメンに濃い肥料を与えたり土を過湿の状態にしていると、根が傷みやすくなり根の傷から菌が入りこみやすくなります。
葉が黄色く変色していきます。
萎凋病の原因となる菌は土の中に潜んでいます。
植え替えた後、ベノミル剤という薬剤を土にかけておくと予防になります。
なお、感染して症状が出た株は、回復することはありません。
感染したシクラメンは処分することになります。
軟腐病
初夏~夏にかけて、気温が高い時期に発生が多くなります。
基本的には土から感染しますが、花ガラや葉を摘んだときにできた球根の傷からも感染します。
シクラメンが感染したときは、葉柄が腐り、球根も柔らかくなります。
症状が出た部分は、腐って悪臭がするのも特徴的です。
対策は、土に菌がいるので、植え替えや植え付けのときに、新しく清潔な用土を使うようにします。
必要であればストマイ液剤20などの薬剤を使用すると予防になります。
炭疽病
8月~9月頃に多く発生します。
水やりの際に跳ねた土が葉に付着し、そこから感染することが多い病気です。
シクラメンが感染すると、葉に暗褐色の丸い斑点ができます。葉柄にも淡い褐色の斑点やくぼみができます。
病斑のうえに濃いピンクの胞子の塊ができることもあります。
対策としては、低い位置からそっと水を与えるようにします。
また、使用したハサミや鉢などの道具から感染することもあるので、作業の前には消毒しておきます。
なお、完治が難しい病気で、さらに近くに置いてある健康なシクラメンにも感染することがあります。
もし病気が発生した株を見つけたら、すぐに処分するようにします。
予防は、ジマンダイセン水和剤などの薬剤を定期的に使うことです。
シクラメンのその他雑学など
シクラメンは、日本には明治時代に伝わりました。
戦後に急速に普及し、花色も黄色や二色、フリンジ咲き、八重咲きなどと、日本での品種改良も進められます。
日本における鉢植え植物では生産量はトップクラスで、冬の鉢植えの代表格として定着しました。
ちなみに、シクラメンの別名「カガリビバナ」の由来は、この花を見たある日本の貴婦人(九条武子だといわれている)が、「これはかがり火の様な花ですね」と言ったのを聞いた植物学者・牧野富太郎が名付けました。
「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」は、植物学者・大久保三郎が英名を日本語にそのまま直した名前です。
なお、シクラメンという名前の「死」と「苦」の語呂合わせや、花の赤色は血をイメージするといった理由から、お見舞いにこの花や鉢植えを持っていくことは縁起が悪いといわれています。
シクラメンのまとめ
以上、シクラメンについていかがでしたか?
シクラメンは、日本ではもっとも生産されている鉢植え植物です。
お店によく並んでいるので、見かけたらその香りを楽しんでみてください。
さまざまな香りの品種が作られていますので、ハマること間違いなしです。
(ライター ジュン)