ムラサキシキブという風流な花の名前を聞いたことがあるだろうか。

今回はムラサキシキブについて詳しくお話します。

ムラサキシキブの特徴

ムラサキシキブはシソ科の落葉低木で、日本各地の林などに自生し、果実が紫色で美しく、観賞用に栽培されます。

北海道から九州、琉球列島までの広い範囲に見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布しています。

 

低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っていることが多い植物です。

高さ3m程度にまで成長し、小枝はやや水平。

 

葉は対生で長楕円形で、先端が少し突き出した形をしています。

葉の長さは6~13㎝ほどで、細かい鋸歯があり、葉は黄緑色で洋紙質。うすくて表面に艶がなく、最初の内は表側に細かい毛があることもあります。

ムラサキシキブの花

花は淡い紫色の小花が散房花序をつくり、葉脈から対になって出て、6月頃に咲きます。

花冠は3~5㎜程、上部が4つに裂け、平らに開きます。

雄しべは4つ、めしべが1個あります。

花の後、秋に果実が熟すと紫色になり、果実は直径3㎜で球形をしています。

 

栽培品種には白実のものもありますが、名前の由来は平安時代の女性作家からきているとも、ムササキシキミからきているともいわれています。

シキミは実が沢山なるという意味の言葉です。

ムラサキシキブの種類と近縁種

ムラサキシキブにはとても変異が多く、代表的なものには白い実をつけるシロシキブや葉などが全体的に大型のオオムラサキシキブがあります。

オオムラサキ式部は岩手県の準絶滅危惧種に指定されていて、葉の大きさは長さ20㎝にも達します。

 

枝や花序も一回り大きく、本州以南に見られるとされています。

果実の小さいコムラサキシキブ、葉の小さいコバノムラサキシキブなどの名称で呼ばれるものもあります。

 

コムラサキは別種ですが、栽培用の庭木として広く普及していて、コシキブとも呼ばれています。こちらにも変種があり、白い実をつけるシラタマコシキブが有名です。

コムラサキとムラサキシキブは混同されやすく、実際コムラサキをムラサキシキブとして栽培していることが大半なのだそう。

 

全体的に見た目の印象も似ていますが、コムラサキの方が小ぢんまりとしていて、ムラサキシキブがは全体に鋸歯があるのに対し、コムラサキの葉には先端半分にだけ鋸歯があるのが特徴です。

 

ウラジロコムラサキという近縁種もあります。

こちらは小笠原諸島の固有種で、父島では絶滅し、兄島に召集の個体が残っている環境省のレッドリストの絶滅寸前の種に指定されている植物です。

ムラサキシキブの栽培

ムラサキシキブは日のよく当たる場所ややや日陰の場所でよく育ちます。

日当たりが悪いと花付きが良くないので、注意が必要です。

 

耐寒性、耐暑性のどちらもあるのでとても丈夫です。

やや湿り気のある土壌を好み、土の表面が乾きかけたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。

特に真夏は乾燥しやすいので注意が必要です。

 

腐葉土の有機質の入った土が適していて、鉢植えの場合は一度植えてしまえば植え替える必要がありませんが、鉢植えの場合はすぐに根詰まりを起こしてしまうので、1年に1回、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えの時期は落葉期が適期です。

 

落葉期には剪定も行っておくと、翌年の花付きを良くし、樹形を整えます。

芽吹く力が強く、どこで切ってもたいがいは芽を吹きますが、あまり短く切り詰めると春に出てくる枝が間延びした感じになってしまい、花付きも悪くなります。

 

挿し木で増やすことが出来、適期は6月頃。果実が出来たら果実をよく洗って種どりしても良いでしょう。

病害虫にはかかりずらく、風通しと日当たりに注意すれば大丈夫です。

稀にカイガラムシが発生することがあるので、冬に薬剤を散布して予防する方法もあります。

(ライター ナオ)