芳醇な香りを放つユリ。
その姿は華やかで美しく、切り花としても、鉢植えとしても人気があります。
そんなユリを自宅で栽培出来たら素敵だと思いませんか?
ユリ科の特徴
ユリはユリ目ユリ科に分類されている植物。その中でもユリ属に分類されるものが一般的にユリと言われています。
種としてのユリは北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布しています。
原種は100種類以上、品種は130品種ほどあるといわれ、日本には15種類があり、うち7種類は日本特産種になります。
1925年に発表された分類ではヤマユリ亜属、、テッポウユリ亜属、スカシユリ亜属、カノコユリ亜属の4種類に分かれています。
山岳地帯や森林、草原、湿地に自生し、唯一の着生植物です。
一般的には石灰質でない弱酸性の土壌を好み、秋植えの球根草です。
園芸種のユリ
欧米ではユリの品種改良の歴史は新しく、19世紀に日本や中国からヤマユリやカノコユリなどの原種が紹介されたのが始まり。
日本では江戸時代の初期からスカシユリというユリが栽培されていました。
現在園芸種は1964年に英国王立園芸協会によって定められて9つの系統に分類されるとされ、オニユリやヒメユリが属するアジアティック・ハイブリッドやテッポウユリやタカサゴユリを基に作られた品種群のロンギフローラム・ハイブリッド、カサブランカが有名なオリエンタル・などがあります。
ユリの栽培
一般的なユリの植栽時期は10~11月で、5~8月頃に開花します。
葉の細いユリは日当たりの良い場所を好み、葉の広いユリは明るい半日陰を好みます。
球根が埋まっている地中の温度が高くなるのを嫌うので、梅雨明け以降は地面に強い直射日光が当たらない場所や建物の東側など、できるだけ涼しい環境で育てると良いでしょう。
直射日光の当たるような場所しかない時は、根元を覆うような下草を植えるのも良い方法です。
風通しがよく、水はけが良いことも重要な条件になります。
鉢植えの場合は梅雨や春秋の長雨に当てないように、鉢を移動します。
水やりは球根の植え付け後にたっぷりと水やりした後は、地植えの場合は天気に任せて大丈夫。
あまり雨が少なく、乾燥が気になる時にだけ少し与えるようにしましょう。
植え付けの時は深さ30㎝以上よく耕して、球根の高さの1.5~2倍の深さに植え付け、2~3年ごとに植え替えます。
鉢植えの場合は球根の直径の3倍位ある鉢を選びましょう。鉢底に石を多めに敷き、球根1個分の深さに植え付けます。
ポイントは上の方の根をしっかりと張らせるようにすること!植え替えは1年に一回です。
鉢植えの場合は表面の土が乾いてきた時にたっぷりと水をやります。
花の後は、葉が枯れるまで土が乾かないように水やりをします。
球根植え付け時に水やりをした後は、庭植えの場合は雨に任せますが、鉢植えの場合は鉢土の表面がよく乾いたときにたっぷりと水やりをします。
花の後も葉が枯れるまでは土が乾かないように水やりを続けます。
肥料は庭植えの場合は緩効性化学肥料を1㎡辺り100g程度、鉢植えの場合は1l当たり2gが元肥の目安です。
生育期間中は2週間に1回程度、液体肥料を施します。
球根は腐敗しやすく、球根腐敗病、青かび病、葉枯病、ウイルス病などにかかります。
球根腐敗病は葉の緑色が薄くなり、その後暗紫色に変色して株が枯れ、青かび病は貯蔵中の球根に茶色の斑点が現れ、やがて腐っていきます。
葉枯病は、長雨が続くような温度が高い時期に葉や蕾に白っぽい小さな斑点が現れて徐々に茶色に変色しながら広がり、株が枯れていきます。
降雨などによる泥の跳ね返りを防ぐために◎チングなどをしておくと予防になります。
ウイルス病は葉に緑色の濃淡の筋が現れたり、葉が縮れたり、株が委縮したりします。発生した株は抜き取ってしまうことが賢明です。
良く知られる害虫はワタアブラムシでで、ユリの茎が伸び始める頃や若い葉、蕾につきます。
予防として植え付けの時に殺虫剤の粒剤を施用すると良いでしょう。
花が終わった後は摘み取り、葉を残します。
(ライター ナオ)