壁や天井をぺたぺたと動きまわる姿が印象的なヤモリですが、その生態はあまり知られていません。
今回は、そんなヤモリの生態をみなさんにご紹介していきます。
ヤモリの生態
ヤモリは有鱗目ヤモリ科に属します。
よくイモリと混同されますが、イモリは水棲の両棲類であるため、爬虫類であるヤモリとは似ても似つきません。
食性は完全な肉食性で、民家や街灯の光に集まった小型の昆虫類を主に捕食します。
吸盤を持たないヤモリが天井にくっつく仕組みに関してはいまだ解明されていない部分もあるようですが、ファンデルワールス力によるものであることが判っています。
ファンデルワールス力とは、電気を帯びていない分子同士の引き合う力のことです。
指先にミクロレベルの細かい無数の繊毛を生やすことで、ヤモリは壁や天井を自由自在に動きまわることができるのです。
ヤモリの種類
日本には多くのヤモリが生息していますが、その多くは沖縄など九州以南にしか生息していません。
ミナミヤモリ、ニシヤモリ、オキナワヤモリ、オンナダケヤモリ、オガサワラヤモリ、タカラヤモリ、ヤクヤモリ、ホオグロヤモリ、アマミヤモリなど、その多くは日本の固有種でもあります。
日本列島の本土に生息するヤモリは二ホンヤモリとタワヤモリのわずかに二種ですが、タワヤモリは瀬戸内海沿岸の限られた地域にしか分布していないため、中部地方以北で見ることができるヤモリは二ホンヤモリのみとなります。
ヤモリの飼い方
前述したように、ヤモリは壁や天井を自在に動きまわることができます。
そのため飼育容器にはしっかりとした蓋が必須で、専用の爬虫類ケージかプラケースを用いるのが一般的です。
単独飼育であれば中型のプラケースで十分ですが、複数匹を飼育する場合には大型のプラケース、もしくは45cm以上のケージを使用してください。
床材は必要ありませんが、ヤシガラ土など保湿力に優れた床材を敷くことで湿度の維持が容易になります。
ヤモリに蒸れは禁物ですので、湿らせすぎないように注意してください。
またヤモリは夜行性の生き物ですので、昼間は暗いところに隠れる習性があります。
一匹につき一か所以上の隠れ家を用意すると良いでしょう。
餌には小型の昆虫類を与えます。
ヤモリの頭と同じくらいの大きさであれば、食べることができるようです。
野外で採取した昆虫をコンスタントに供給することは難しいので、コオロギやミルワームなど餌用の昆虫を専門店で購入すると良いでしょう。
購入した昆虫を自分で繁殖させるというのもおすすめです。
自然下では様々な種類の昆虫を捕食することで栄養を補っていますが、飼育下で様々な昆虫を与えることは難しいため、専用のサプリメントなどを添加して栄養を補うと良いでしょう。
また、ヤモリは夜行性の生き物なので紫外線は必要ないとする意見も多いですが、経験上、適度な日光浴はヤモリの健康維持に有効であるように思えます。
基本的には冬場でも保温器具は必要ありませんが、冬眠をさせないのであれば飼育容器は室内に設置しましょう。
ヤモリの寿命
二ホンヤモリの寿命は長く、上手に飼うことができればその寿命は10年を超えます。
ヤモリの雌雄を適切な環境で飼育していると、ごく自然に産卵します。
気がつくとケージの中に卵を産んでいた、なんてことも少なくありません。
卵を放置しておくと親ヤモリが卵をつぶしてしまう恐れがあるので、産卵が確認できたら速やかに別容器に隔離してください。
それが有精卵であれば、およそ二ヶ月ほどで孵化します。
かくいう筆者も、今年は一匹のベビーを孵化させることに成功しました。
孵化したてのヤモリは物怖じせず、手を出せば飛び乗ってくるほどの人懐こさです。
みなさんもぜひ繁殖に挑戦してみては如何でしょうか。
(ライター 國谷正明)