独特な香りのするユリ。
美しく大きな花をつける豪華なイメージのある花ですが、野生に咲くユリは意外にも健気に咲いているものです。
葉の形が特徴的なクルマユリもそんな花のひとつ。
さて、一体どんな花が咲くのでしょう。
クルマユリの特徴
クルマユリはユリ科ユリ属の多年草。
白色の鱗茎は球形で、直径2㎝ほど。茎の高さは30~100㎝程度で、花の大きさは5~6㎝、茎の上部には1~数個が互生しています。
6枚の花被片はオレンジ色で、濃紅色の斑点があり、花粉は赤褐色です。
花弁が後ろに反り返るのはユリの特徴ですが、その反り返りが後ろ側で触れ合うほど強く反り返るのが特徴です。
花の時期は7~8月で、葉は茎の中央部で6~15枚輪生し、上部に3~4枚まばらについています。
葉が車輪の輻に例えられて名前がついたと言われています。
中国、朝鮮半島、サハリン、カムチャッカ半島、千島列島、日本に分布していて、冷涼な土地を好んで生息しています。
日本では北海道や本州の中部以北、他高山帯や亜高山帯の草原に分布しています。
クルマユリの利用
クルマユリの鱗茎は食べることが出来、アイヌ料理では一般的な食材でした。
調理方法は秋に掘り起こした鱗茎を食べられない真の部分を除いて鱗片をほぐしてコメと合わせて炊くといったもの。
現在でもユリ根ごはんなどの形で残っている地域も多い。
レッドリストに指定
クルマユリは一部の地域ではレッドリストの指定も受けていて、その生息数が減少しています。
理由としては、生育環境が遷移したことや栽培目的の採集によると考えられていますが、最近では鹿による食害も増えているのだそう。
クルマユリの栽培
クルマユリは比較的明るい半日陰や日向を好みます。
球根が埋まっている地中の温度が高くなるのを嫌うので、地面に直射日光が当たらないような場所を選んで植えるのが良いでしょう。
水はけのよい土壌を好むので、排水の悪い庭では盛り土をします。
また、鉢植えであれば梅雨と春秋の長雨に当てないように鉢を軒下などへ移動させましょう。
水やりは球根を植えた後と、表面の土が乾いた時です。地植えの場合は水やりは必要ありません。
花が終わった後でも葉が枯れるまでは土が乾かない程度に水やりをします。
肥料は緩効性の肥料を植え付けの時に与えます。他には液肥を2週間に一度程度与えると良いでしょう。
植え付けや植え替えの時期は10~11月です。
庭植えの場合は土壌を深さ30㎝くらいまで良く耕して、球根の高さの1.5~2倍の深さに植え付けます。
一度植え替えたら、2~3年は植え替え不用です。
鉢植えの場合は球根直径約3倍程度の直径で深さのある鉢を選びます。
鉢底石を多めに敷いて、球根1個分の深さに植え付けます。
大きい球根が増えた場合は球根を2分割するなどして増やすことが出来ますし、種類によってはむかごなどが出来るものもあります。
かかりやすい病害虫
ユリ全般に言えることですが、春になり生長してくるようになると、毛虫などの葉が食べられることがあります。
開花時期には蕾がナメクジに食べられたりもします。
毛虫の場合は殺虫剤を、ナメクジの場合は専用の誘殺剤などを使用して駆除するのがオススメです。
ボトリチス病という病気になることも多く、こちらは発生してからは手遅れになってしまうので、梅雨の時期より前に殺菌剤などを散布して予防に努めるようにすると良いでしょう。
クルマユリのまとめ
大きな花のイメージの強いユリですが、健気に咲くユリもあるということがわかりました。
それにしても、独特の切れ込みと反り返り、葉の形はクルマユリ独特のもの。
ぜひ、野生のクルマユリを見つけてみたいものです。
(ライター ナオ)