オニヒトデという名前のヒトデを知っていますか?
一見ウニのようにも見える、このヒトデ。
彼らの生態や天敵に迫ります!!
オニヒトデの特徴と生態
オニヒトデはオニヒトデ科に分類される動物の一種。
日本では主に南西諸島に生息しています。
黒潮に乗って北上し、本州でも確認が報告されています。
15~30㎝ほどある大型のヒトデで、沢山の腕を持っていて、全身は棘に覆われています。
サンゴ礁に生息し、成体はサンゴもエサにします。
幼生の頃は植物性プランクトン、幼体になると石灰藻やデトリタスを食べます。
ある程度の大きさまで成長すると、石灰藻食、デトリタス食に加えてサンゴを捕食するようになります。
オニヒトデに限らず、サンゴ全般に対して言えることですが、彼らは摂食する時の方法が独特です。
口から胃を裏返して広げ、エサとなる生物に押し付け、その後消化吸収を行うのです。
寿命は6~8年で、通常はミドリイシ類やコモンサンゴ類などの成長の速いサンゴを好むので、サンゴ礁の多様性を維持する役目を果たしていると考えられています。
オニヒトデの天敵
オニヒトデの天敵は造礁サンゴと言われています。
オニヒトデ浮遊幼生を造礁サンゴが食べてしまうのです。
他にはホラガイなどが天敵として挙げられます。
彼らはオニヒトデを消化するのに1週間かかると言われており、大発生したオニヒトデの前では天敵とは言えない面もあります。
オニヒトデの毒性
オニヒトデの体表面には多数の有毒な棘が生えています。
人の皮膚に刺さると毒素によって激しい痛みを感じ、アナフィラキシーショックを起こす場合もあり、最悪の場合は市に至ることもあります。
刺された時にはなるべく早くポイズンリムーバーで血液を吸引し、のちに温湿布などで患部を温めるなどの処置が必要です。
オニヒトデの活用と利用
オニヒトデの分泌する液には魚の成長を促進する成分が含まれていて、これを利用した飼料の開発が行われています。
この飼料は、養殖魚の白点病の抑制や養殖漁業を効率よく進めるのに役立つのではないかと期待され、特にオニヒトデが大量に駆除される沖縄県で活用されています。
サンゴ礁の消滅を食い止める!?
沖縄では1957年頃からオニヒトデが大発生しており、特に1970~1980年の大量発生によって沖縄のサンゴ礁に大きなダメージを与えたと言われています。
また、沖縄に限らず、オーストラリアのグレートバリアリーフでも同じような現象が起こっていて、このたんぱく質がそれらの問題を解決する糸口になるのではないかと期待されています。
近年、沖縄科学技術大学院大の教授らが、オニヒトデは特有のたんぱく質を出し、仲間を呼び寄せる性質を持っていて、その種類は6種類にも及ぶと発表しました。
つまり、このたんぱく質を使ってオニヒトデを大量に集め、一気に駆除することが可能なのではないか―――ということ。
このたんぱく質で他の生き物が集まることはなく、毒性もないため、かなり実用性があるとされ、人工的に作り出す研究も進んでいるのだそうです。
オニヒトデの生態と天敵に関するまとめ
オニヒトデはオニヒトデ科に分類される動物の一種。
日本では主に南西諸島に生息している。
15~30㎝ほどある大型のヒトデで、全身は棘に覆われている。
オニヒトデの体表面には多数の有毒な棘が生えている。
サンゴ礁に生息し、成体はサンゴもエサにする。
オニヒトデの分泌する液には魚の成長を促進する成分が含まれていて、これを利用した飼料の開発が行われている。
近年、オニヒトデは特有のたんぱく質を出し、仲間を呼び寄せる性質を持っていて、このたんぱく質がサンゴ礁を荒すオニヒトデの駆除に役立つのではないかと考えられている。
(ライター ナオ)