ダチョウはダチョウ目ダチョウ科ダチョウ属に分類される鳥です。現存する鳥類では世界最大種になります。
ダチョウは鳥類ですので翼とふわふわした羽毛を持ちますが、その巨体を持ち上げられるほどの揚力を得ることはできません。
しかし、二本の肢は長く頑丈で、強い力で大地を蹴って走ることができます。
世界各地で飼育されている
ダチョウは、かつてアフリカ全域とアラビア半島にも生息していましたが、乱獲などによりその数を減らし、現在野生種はアフリカ中央部と南部に生息するのみです。
ただしオーストラリアには移入されており、現地での繁殖が期待されていますし、食肉や羽根、皮革目的で養殖されていますので世界各地で飼育されています。
ダチョウの名の由来とは?
ダチョウは日本では『駝鳥』と書き表します。
この名前は同じく乾燥地帯に生息する、足が太くて逞しいラクダ(駱駝)に由来しており、中国でも『駝鳥』と表記されています。
ダチョウは世界最大・最重量の鳥類!
ダチョウのオスの成鳥は体高で230センチにも達します。
体重は135キロを超えることもありますので、現生する鳥類では、最大かつ最重量の種になります。
この体の大きさの割に頭は小さく、それに続く長い頸部は小さな羽毛に覆われています。
ダチョウは視力が優れている!
ダチョウの目は陸上生物最大で、その脳よりも重く大きなものです。ダチョウの視力は非常に優れており、鳥類の中でも抜きんでています。
また、まつ毛が長く、愛嬌のある顔をしています。動物園でも非常に人気のある存在なのです。
ダチョウは群れをなす
ダチョウはサバンナや砂漠などの乾燥した地域や低木林などに生息し、群れをつくる習性があります。
繁殖期には1羽のオスと複数のメスからなる比較的小規模なものですが、それを過ぎると、いわば老若男女が集まる大規模な群れになることがあります。
ダチョウは石を食べる!?
ダチョウの食性は雑食だと言われていますが、おもに草を中心に食べていますので、実質は草食性と考えられています。
ダチョウはなんでも食べるなどと言われていますが、これは石を飲み込むことに由来しているようです。
ダチョウは最大で10センチにもなる石を飲み込んで胃に蓄え、胃を動かすことで石を使って食べ物をすりつぶす『胃石』として利用しているのです。
ダチョウの羽根は真実と公正の象徴!
ダチョウは古代エジプトでも飼育されていたようで、ヒトとの関わりは非常に古くからあると言えます。
特にダチョウの羽根は真実と公正の象徴として、ファラオの装飾品や中世の騎士のカブトにも用いられてきました。
宝塚歌劇場のトップスターたちもその衣装にダチョウの羽根を使用しています。
背中の部分の皮膚は『オーストリッチ』と呼ばれ軽くて丈夫な皮革製品として財布やバッグなどに用いられています。
ダチョウの肉は好んで食べられている!!
大航海時代以降、野性のダチョウが捕獲される一方、その飼育も盛んになりました。
ダチョウが盛んに飼育されるのは、その羽根や皮革ばかりでなく、食肉としても重宝されているからです。
ダチョウの肉は、高タンパク質でありながら低脂肪であり、欧米では好んで食べられています。鉄分が豊富で赤みが強く、歯ごたえのある食感が特徴です。
ダチョウは日本でも飼育されている!
ダチョウの肉は世界的には数万トン、日本国内でも年間に100トンほど消費されているようです。
その中で特に好んで食べられているのはモモ肉です。そのほか、首や内臓も人気があります。
日本国内でもダチョウの飼育は盛んになり、1997年にダチョウの生産者団体として日本オーストリッチ協議会が設立されるなど、活発化しています。
世界最大の細胞はダチョウの有精卵だった!
ダチョウの繁殖は卵生です。
オスが地面に掘って作った窪みにメスが卵を産みます。
このとき、最初に卵を産んだメスが群れの中で優位になります。
卵は順次その外側に産みつけられます。
ダチョウの卵の大きさは長径で11センチにもなり、現存する生物では最大のものです。
受精卵は、最初たった一つの細胞から分裂を繰り返しますので、ダチョウの卵黄は世界最大の細胞であると言えるのです。
ダチョウの卵も食用にされるが、その味は…
ダチョウの卵は大きく見栄えのするものですが、食用とした場合、その味はあまり評価されていません。
大きさとしては鶏卵の20個分に相当しますが、黄身はニワトリと較べて水っぽく薄味であり、白身は加熱しても固まらずにジェル状を呈します。
ただしアフリカの原住民にとっては貴重なたんぱく源であり、子どもや老人がよく食べます。
ダチョウの卵で病気の予防!
さまざまな病気に対して免疫反応を利用するため、抗体(免疫グロブリン)が作られています。
通法では、鶏卵を利用して作製されることが多いのですが、日本国内でダチョウの卵から作られる方法が開発され注目されています。
ダチョウの卵は鶏卵の20倍も大きいので、これを使って大量に安価に抗体をつくることが可能だと言われています。
たとえば、マスクに換算すると、ダチョウの卵一個から実に数万枚も生産することができるそうです。
ダチョウの卵のまとめ
このように、食用としてのダチョウの卵はイマイチですが、抗体産生など医療分野での活用が期待されています。
特に、抗体を染み込ませたマスクと鼻や顔に使う抗体スプレーは花粉症対策への有効な切り札となりそうです。
(ライター オニヤンマ)