春の訪れを感じさせてくれるツバメ。

縁側の屋根の下や物置の天井などに巣を作る身近な野鳥の一種ですが、天敵も身近なところにいる、あの生き物!

ツバメの生態

ツバメは主に北半球に生息している野鳥です。日本全土でその姿を見ることができます。

日本にいるツバメの多くは台湾やフィリピン、ボルネオ島などで冬を越し、春になると日本に渡ってきます。

中日本や西日本ではそのまま日本で冬を越すツバメもいて、それらは越冬ツバメと呼ばれます。

ツバメは飛翔しながら昆虫を捕食したり、水面を跳びながら水を飲むというスゴ技を持っています。

産卵時期は4~7月。一度に3~7個の卵を産みます。

 

主にメスが2週間ほど抱卵し孵化すると、その後20日ほど育雛をして巣立っていきます。

ヒナが無事巣立ちする確率は50%ほどしかなく、実に低い確率なのです。

ツバメの天敵

確率が低い理由の一つに天敵の存在があります。

ツバメの雛たちにとっての最大の天敵はカラスと蛇、そして何を隠そう私たち人間です。

 

カラスたちはホバリングができないので、下からジャンプして、くちばしで巣を壊し、中の雛を狙います。

蛇はどこでもするするっと昇っていきますから、あらゆるものを伝って巣まで近づき、卵やヒナを狙います。

そして人間は、巣を作られるとその辺り一帯が糞で汚くなるという理由で、子育て中にも関わらず、撤去してしまうのです。

減少するツバメ

日本野鳥の会が平成24年に行った調査では、平成14年からの10年間でツバメの数が減ったと実感している人が全体の4割にものぼり、石川県の調査では平成25年に確認されたツバメは昭和47年に確認されているツバメの数の3分の1にまで減少しているということが明らかになっています。

原因としては自然環境の変化によるエサの不足や悪化するカラスの被害などに加え、人による巣の撤去も挙げられています。

縁起が良いと言われるツバメの巣

ツバメの巣の材料は、泥と枯れ草に唾液を混ぜたものです。

お椀のかたちをしていて、垂直な壁に作られることが多いのですが、電線のコードの上などに作ることもあります。

 

近年は、道路が舗装されており、河川もコンクリートの護岸が多く、泥が集めにくくなっているので、約半数のツバメが前年の巣を補修して再利用しているといわれています。

大きさは外径12~15センチ、内径6~12センチ、深さ1.5~3.6センチほどです。

 

そんなツバメの巣は昔から縁起が良いと言われてきました。

商売繁盛のシンボルや巣のある家は運気の良い象徴で、その後も繁栄していくと。

ツバメの巣を守る

繁栄を信じて!?巣をそのままにし、無事ヒナを孵すためには天敵である人間も、一役かわなければなりません。

まずカラス避けとして、カラスが近づくのをためらうような糸を巣の周りに張り巡らせておきます。

 

また、蛇に関しては、巣の周りから蛇が伝いやすいものを撤去したり、柱などはビニールで3面を覆ってしまうと、巻き付きながら登ることが困難になります。

防護ネットなども販売されています。

 

木酢液などのヘビの嫌がるにおいを撒いておくのも効果的で、糞の処理を細目にして、ツバメの存在自体に気付かせないというのも良い方法です。

下に落ちてくる糞を避けるために、巣の下に糞受けを作ると、人も快適にツバメの巣を見守ることが出来ます。

ツバメの生態と天敵のまとめ

ツバメは北半球に多く生息している。

日本にいるツバメの多くは台湾やフィリピン、ボルネオ島などで冬を越し、春になると日本に渡ってくる。

 

天敵はカラスと蛇と人間。

ツバメの数は減少傾向にあり、石川県のある調査では昭和47年から近年まで、その数は約3分の1になっていると報告された。

(ライター ナオ)