メクラチビゴミムシ・・・・
何とも凄い名前の虫ですが、あまりにも名前が酷いとネットでも騒然。
しかし、このメクラチビゴミムシ、別に悪意があってつけられた名前ではないのです。
メクラチビゴミムシって?
メクラチビゴミムシはコウチュウ目オサムシ科チビゴミムシ亜科に属するチビゴミムシのうち、地下の洞窟などで生息する眼の退化した種類の総称です。
日本には2族30属300種類以上がいると言われています。
体長は1㎝に満たないものが多く、とにかく各地域に固有種がいるのが特徴です。
つまり、1地域に1メクラチビゴミムシという、ご当地限定の!?メクラチビゴミムシが生息しているというわけ。
エサは地中の有機物で、それぞれの種の詳しい生態などはあまりわかっていません。
眼が退化した代わりに感覚網が発達しています。
乾燥に弱く、地下水脈に沿った地下の隙間に挟まって生きています。
メクラチビゴミムシは長らく洞窟で進化した生物と考えられてきましたが、地下の広い範囲に生息していることと、土壌より仮層の地下浅層の岩石間の亀裂ネットワークに生息していることから、実はそうではないということが判明。
地域の変動によって個体群が隔離され、固有種が多くいる、土地変動の歴史の生き証人だということが分かったのです。
メクラチビゴミムシという名前
「メクラ」や「チビ」や「ゴミ」という差別的ともとれる名前がついていることが盛んに取り上げられ、とにかく酷い!!ということになっていて、研究者たちの間でもこのことに関して議論があるようです。
しかし、学名というのは閃きや思い付きでつけられるものではなく、メクラチビゴミムシもゴミムシという種類の、体長が小さく、眼が退化した種類につけられているだけで、全く悪意などないわけで・・・・。
その辺りの事情を知らず、名前だけを聞き、騒然となっているというのが実情です。
メクラチビゴミムシよりも酷い名前だってある!!??
日本にいるメクラチビゴミムシの仲間に、「ウスケメクラチビゴミムシ」という種類の昆虫がいます。
これは「メクラ」、「チビ」、「ゴミ」のほかに「ウスケ」がついている、いわゆるハゲのメクラチビゴミムシ!!
実はこっちの名前の方が酷い!!??
まあ、「ハゲ」と言っていないだけいいということなのでしょうかね?
メクラチビゴミムシの新種を探そう!
メクラチビゴミムシは地下の水脈に沿って生活している昆虫なので、日本列島の大陸の変化を実に見事に表現している歴史の生き証人でもあります。
実際に九州北部と四国西部にいるメクラチビゴミムシが近似種であったり、地域的に隣接しているチビゴミムシ同士よりも、海を挟んだ種の方が近似種であったりということが起こっています。
また、毎年のように新種も発見されていて、いかにそれぞれの土地で独自に進化を遂げてきたかのわかる種類でもあるわけです。
新種を見つけるためには地下の水脈をたどる必要があるようです。
なぜなら、洞窟の中のメクラチビゴミムシは多くの研究者たちによって調査されつくしているから。
この作業は、かなりの根気が必要とされる作業ですが、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください!!
メクラチビゴミムシのまとめ
メクラチビゴミムシは日本に300種類以上生息しているゴミムシ科の昆虫。
体長は1㎝に満たないものが多く、眼が退化し、感覚毛が発達している。
地下の水脈にそった地下の隙間に挟まって生きていて、乾燥に非常に弱い。
大陸変動の生き証人でもあり、日本列島の大陸の変化を表す分布をしている。
日本でも毎年新種が発見されている。
メクラチビゴミムシという名前は学問の分類上、機械的に付けられた名前で悪意はない。
(ライター ナオ)