実に様々な種類が存在する「ゴミムシ」。

特に面白いのは、幼虫の生態です。

 

種類によって幼虫の生態にもそれぞれ特徴があり、一括りにゴミムシとしてまとめてしまうことに違和感があるほど。

今回はそんなゴミムシの幼虫に焦点を当てて、見ていきたいと思います。

そもそもゴミムシってどんな虫?

ゴミムシはコウチュウ目オサムシ科の虫の中から、目立ったものを除いたその他大勢を指す呼び名です。

なんと雑なまとめかた…。

例えるなら雛段芸人のようなものでしょうか。

日本だけでも1000種以上が確認されており、大きさや色、生育環境も様々。

 

名前の由来は「ゴミ溜めによくいる虫」というところから来ています。

よく人を見下す時に「ゴミムシ」とか「クソムシ」という表現をしたりしますが、ゴミムシもクソムシも実在する虫です。

まぁどちらにしろ言われて嬉しいものではありませんが…。

 

人の悪口にしか聞こえない「ジャアナヒラタゴミムシ」なんて名前のやつもいます。

基本的には人間に対して害のある虫ではありません。

しかし中には危険を感じると毒液を出すものや悪臭を放つものもいるので、見つけても不用意に触ったりしないほうがいいでしょう。

 

みなさんもよく知るミイデラゴミムシは、100度もの高温になるガスを発射して火傷を負わせたりもしますし…。

害はなくても灯りに誘われて家の中に入ってきたりすると、十分気持ち悪いですよね。

ゴミムシの幼虫の生態

基本的に、ゴミムシの幼虫は蛾の蛹など動物質な餌を食べて成虫にまでなります。

ただし中には特殊な食性を持ったものも数多く存在します。

 

例えばゴモクムシ亜科に属するものの何種類かは、動物質の餌ではなく雑草の種子などを食べる草食性。

同じゴミムシという括りでも、完全草食の幼虫もいるのですね。

 

そして最も驚くのが、他の生き物に寄生して成長する幼虫たち。

代表的なのは「オオキベリアオゴミムシ」で、この幼虫はなんとカエルに寄生して成長するのです。

まずはカエルの喉元に食らいつき、そこから徐々に血液を吸い取ります。

 

カエルは当然幼虫を追い払おうとしますが、しっかりと食いついているため自力で剥がすことは不可能。

そうしているうちにカエルはだんだん弱っていってしまい、最終的に幼虫はカエルを食い殺してしまうのです。

 

寄生は成虫になるまで3度ほど繰り返され、つまりはカエルを丸々3匹食い尽くして成長するということ…。

普通なら虫はカエルの捕食対象なのに、逆に食い殺してしまうとは恐ろしいですね。

「ミイデラゴミムシ」の幼虫も、ケラの卵に寄生して成長するということは有名です。

 

正直、カエルだけでも結構気持ち悪いのに、それにゴミムシの幼虫までくっついていたら…見ただけで悲鳴を上げてしまいそうです。

もしもカエルを助けてあげたいと思っても、無理やり幼虫を引きはがしたりしないでください。

しっかりと噛みついているので、カエルの皮膚が裂けてそれが致命傷になってしまうことがあります。

 

はがすときには、幼虫の頭のあたりを強く挟むことで、幼虫が自ら口を離すよう促すのが最善です。

極端に痩せていたり、動きが鈍いカエルがいたら、ゴミムシの幼虫がひっついていないか確認してみましょう。

ゴミムシの幼虫についてのまとめ

ゴミムシの幼虫の寄生は「捕食寄生」と言い、寄生された宿主は必ず命を落とすことになります。

また、成虫になってからも肉食でカエルを餌とする種もいるらしく、カエルにとってゴミムシは最強の天敵なのではないでしょうか。

 

もし自分がカエルだったらと思うと…「こんな死に方はしたくないランキング」でトップにランクインすると思います。

もしかしたらそのうち、人間に寄生するゴミムシなんてのも出現するかも…?

(ライター もんぷち)