タイコバエという名前のちょっとめでたい感じのする!?ハエをご存知ですか?
このハエ、実はとっても恐ろしい行動をとるんです!!
タイコバエって?
タイコバエは南米、アルゼンチンに生息しているノミバエ科の一種です。
アカカミアリという毒針を持つありに寄生し、アカカミアリをゾンビのように操って、彼らの頭で繁殖する、凄い奴らなんです。
アカカミアリって?
そもそもアカカミアリとは何ぞや、というところから話を始めましょう。
アカカミアリはアメリカ南部、中央アメリカ、南アメリカ北部、カリブ諸島を原産地とするアリで、世界各地の熱帯から亜熱帯地域に移入し、分布しているアリです。
ニホンでも小笠原諸島の硫黄島、沖縄島、伊江島の在日米軍施設に周辺に定着していると言われています。
普通のアリと同じように社会性のある生活を営んでいて、働きアリの体長は3~5㎜、近縁な日本在来種と比べて大型です。
最近、世間を何かと騒がせているヒアリの仲間、赤ヒアリなどとは歯が2本あることで区別が出来ます。
アカカミアリは盛り上がったアリ塚などは作りません。
また、集団でつながることによって、水に浮いて移動することも出来ます。
巣に刺激を与えると、身を守るために集団で噛みついて、腹部にある針で猛烈に刺してきます。
アカヒアリほどの毒性はありませんが、アナフィラキシーショックを起こした例はあり、注意が必要なアリです。
アカヒアリ同様、世界中の貿易に伴って乗り物や物資に紛れ込んだ外来種の問題は後を絶ちません。
アカカミアリもその中の一種。
小型の節足動物を捕食したり、在来アリとの競合や駆逐、人への刺咬被害はもちろんのこと、アカカミアリのエサとなる甘露を提供するカイガラムシを保護することによって、農業などに影響を与える農業被害も起こっており、2005年、政府は外来生物法により、特定外来生物に指定しています。
アカカミアリ寄生のメカニズム
そんなアカカミアリの体に針を刺して体内に卵を産み付けるのがタイコバエ。
針のような管を刺し、産み付けた卵は40日ほどで成虫に近い蛹になります。
それまでの間、アカカミアリの内部で孵化したウジは、アカカミアリの頭に移動。
脳髄をすすりながら成長します。
やがて、タイコバエのウジはアカカミアリの脳を支配し、コントロールすることで、アカカミアリを巣穴から出るように促し、湿り気の多い、緑のある場所へと誘導していくのです。
そう、まるでゾンビのように操られるがままに、アカカミアリは巣穴から出て、さまよいます。
時には巣穴から50mも歩き続けることもあるのだとか。
こうして、ウジが自分好みの場所までアカカミアリを誘導すると、アカカミアリの頭を切り落とし、頭の中で蛹になり、ハエとして出てくるというわけ。
タイコバエの一連の行動は、まるでホラー映画の世界・・・・なわけで・・・・。
タイコバエと人間の関係
アメリカ南部では、タイコバエを使ったアカカミアリの駆除を行っているのだそう。
もともとアメリカ南部には生息していなかったアカカミアリ。
毒針を持っていることから、危険な昆虫であることは確か。
そこでアカカミアリを抑えるために、タイコバエを大量に放つ取り組みが行われているのだそう。
タイコバエのまとめ
タイコバエは南米、アルゼンチンに生息しているノミバエ科の一種。
アカカミアリに寄生し、脳を支配しコントロールすることで、自分好みの場所へ誘導する。
誘導した後は、アカカミアリの頭部を切り落とし、蛹になり、成虫になる。
アカカミアリは毒針をもっているアリで、外来種として日本にも生息している。
アメリカ南部ではタイコバエの生態を利用してアカカミアリの駆除を行っている。
(ライター ナオ)