イカは、海生軟体動物の一群です。
分類学上は、軟体動物門・頭足綱・十腕形上とされています。
ここではイカの頭と、その脳味噌について紹介します。
イカの生態
イカは、全世界の浅い海から深海まで、あらゆる海に分布しています。
淡水域に生息する種は、現在確認されていません。
体長は2センチから20メートルに達するものまで、種によって大きな差があります。
イカ(十腕形類)は、タコ(八腕類)と近縁です。
ただし姉妹群の関係にはありません。
イカ(十腕形類)は、伝統的には、触腕を収納できるコウイカ目と、収納できないツツイカ目の2目に分けられます。
なお、イカは体の大きさに対しての眼球の割合が大きいことから、行動の多くを視覚情報に頼っていると推測されています。
イカやタコの眼球は、外見上は、脊椎動物の眼球とよく似ています。
しかし、まったく異なる発生過程を経て生まれた器官で、内部構造に明確な違いがあります。
研究によると、同じタンパク質とツールキット遺伝子によって並行に獲得された器官です。
脊椎動物のそれと違い、視神経が網膜の背面側を通っていて、視認の邪魔になりません。
そのためイカは視力が優れており、盲点が存在しません。
イカの頭の位置
イカの頭は、目と口がある部分、触腕の付け根のすぐ上にあります。
10本の触腕と、「三角形のヒレをもつ上半分」の間の、ごく小さな部分がイカの頭です。
ちなみに、この「三角形のヒレをもつ上半分」が胴体です。
外套膜といって、ここに内臓があります。
つまりイカの体は、頭から下に腕を伸ばし、頭から上に胴体があるという状態です。
イカの脳味噌は?
イカは無脊椎動物なので、人間のような脳を持っていません。
無脊椎動物は、人間の脳のように集中制御する神経があるのではなく、神経節という神経のかたまりが分散しています。
それらを仮に脳と呼んでいます。
ですから脳味噌という言葉からイメージされるものとは、形状がまったく異なります。
なお、イカの脳神経節と眼神経節は、両眼の中間部にあります。
星状神経節、鰓神経節、心臓神経節は体に分散しています。
イカは眼が非常に発達しておりますので、脳の大部分を眼神経節がしめているといってもいいでしょう。
イカのその他雑学など
イカは貝類の仲間なので、貝殻のようなものがあります。
ツツイカ類(ケンサキイカやスルメイカ)は、背中にあるプラスチックのような「軟甲」が貝殻の名残です。
コウイカ類は、舟のような形をした「イカの甲」が貝殻の名残です。
イカの甲は、貝類の場合のように柔らかい体を貝殻が外から包んでいるのではなく、外套膜の筋肉中の袋に包まれています。
これは「浮き」として機能します。
なお、イカはさまざまな料理法で食べられていますが、アニサキスの宿主です。
食材として用いる際は、加熱または-20度以下の環境で24時間以上冷凍するとよいでしょう。
生食をする場合は、目視で確認をし、かつ刃物で切れ目を入れます。
醤油、酢、ワサビでは死滅しないので気をつけてください。
おもな料理法は以下の通りです。
- スルメ
- 丸干し、燻製
- イカ焼き(焼きイカ・イカの姿焼き・ポンポン焼き)
- 刺身(イカの活造り・イカ刺し・イカそうめん)
- 寿司
- イカ徳利
- 煮物
- 天ぷら
- イカフライ、イカリング
- イカ飯
- 塩いか
- 塩辛
- 沖漬け
- イカトンビ
- イカ墨汁
- イカゴロ(内臓)のルイベ
- さきいか など
なんかもう、お酒が飲みたくなるラインナップですね。
ちなみにイカの塩辛ですが、冷凍のイカを買ってくれば簡単に作れます。
ちょっと冷蔵庫がくさくなるような――気もしますが、それでも市販のものとはまったく異なる食感ですので、機会があればぜひ挑戦してみてください。
アニサキスが心配なら、冷凍庫に2晩保存してから作るといいでしょう。
イカの頭と脳味噌のまとめ
以上、イカの頭とその脳味噌についての記事でした。
実は以前はよく、イカの塩辛を自作していたのですが、忙しさにかまけて、いつの間にか作らなくなってしまいました。
それで今回の記事を書いていて思い出したのですが……
もう今日からさっそく作りたいと思います。
イカは安くて、筆者のような素人にも簡単にさばけます。
自作の塩辛に挑戦する際は、頭や脳味噌の位置を意識しながらさばいてみてください。
それと生イカが手に入った場合は、アニサキスに注意してくださいね。
(ライター ジュン)