タヌキというと、どこか滑稽なイメージのする動物。
都市化した現代にも適応しているタヌキたちについてご紹介します。
日本のタヌキ
タヌキはネコ目イヌ科に分類され、もともとは極東にのみ生息している珍しい動物でした。
近年輸入したタヌキがどんどんと野生化し、その生息域はポーランド、東ドイツ、フィンランド、ドイツまで広がっています。
1990年にはフランスやイタリアでも目撃例があるのだそうです。
山野に生息していたタヌキですが、日本では森林地帯の減少に伴って、都市にも出没するなど、現代の都市化に適応しています。
日本に生息するタヌキは北海道のエゾタヌキと本州のホンドタヌキの2種類。
エゾタヌキの方が若干足が長く、すらっとした印象を受けます。
タヌキの形態と生態
タヌキの体長は50~60㎝。
体重は3~10kgです。
灰褐色をしていて、目の周りと脚は黒っぽい色をしています。
幼獣は肩から前足にかけてこげ茶色の体毛をしていて、一種の保護色になっていると考えられています。
ネコ目イヌ科というと猫に近いのか、犬に近いのか混乱してしまいそうですが、もともと先祖が樹上生活をする猫のような生き物で、それが森林や草原に降りてくることによって、湿地や森林の生活に適したイヌのように進化したと考えて良さそう。
実際タヌキの毛は剛毛と柔毛の両方が生え、湿地帯でも楽に歩けるようになっているのだそうです。
タヌキは夜行性で1頭、もしくはペアで生活しています。
一度組まれたペアは死ぬまで解消されることはないと言われています。
行動範囲は50haほど。
複数の個体の行動範囲が重なっていることもあり、特になわばりがあるわけでもないようです。
特定の場所にため糞をする習性があり、大きいものだと直径50㎝、高さ20㎝ほどにもなるのだとか。
一頭で10か所ほどのため糞があるそうで、これは臭いで地域個体同士の情報交換の役割を担っていて、エサの在りかなどを仲間同士で交換しあうためと考えられています。
食性は雑食でネズミやカエル、鳥などの他、農作物や柿、ビワなどの果実、生ごみなどもあさります。
都市化に対応するタヌキ
もともと雑食性で、人間のだす生ごみなどもエサにして逞しく生き残っているタヌキですが、交通事故による死亡率が高く、高速道路では、動物の交通事故の8割がタヌキなのだとか。
慣れていないタヌキは前照灯の前で立ちすくんでしまう習性があり、そのままひかてしまうのだそう。
タヌキの餌付け
日本の一部の地域ではタヌキの数が激減し、生息場所が国の天然記念物に指定されているような場所もあります。
餌付けをして可愛がっている人も多いそうです。
カキやビワなどの甘い果物はタヌキも好物のようですが、季節もので一年中あるというわけではありません。
人がタヌキを餌付けする時に最も便利なのは食パンです。
手軽に手に入ることと、比較的安価で買えるので、長期的にタヌキを餌付けすることが出来ます。
タヌキの持っている病気
餌付けするとタヌキは頻繁に人里に降りてくるようになります。
そんな時注意したいのは疥癬症(かいせんしょう)という病気。
この病気にかかったタヌキは全身から毛が抜け落ち、地肌が露出して衰弱していくのだそう。
ヒゼンダニというダニが媒介する病気で、人や犬、猫にも感染し、人間が感染すると発疹が出来てひどいかゆみを伴います。
餌付けする際には十分に注意しなければなりません。
タヌキのまとめ
タヌキはもともととても珍しい動物。
日本にはエゾタヌキとホンドタヌキの2種類がいる。
タヌキの餌付けには果物や食パンが最適。
イヌやネコなどのペットにタヌキの病気がうつることがあるので注意が必要。
日本では信楽焼など、滑稽なイメージの強いタヌキですが江戸時代以前は人を食う恐ろしい動物として認識されていたのだとか・・・・。
ちょっと想像がつきませんよね。
(ライター ナオ)