ハイイロゴケグモというちょっと危険なクモをご存知でしょうか?
近年日本でもその存在がピックアップされ問題になることもしばしば。
ちょっとした注意で避けることができるハイイロゴケグモについて詳しくお話していきます。
ハイイロゴケグモの特徴
ハイイロゴケグモはヒメグモ科の毒を持つ小さなクモの一種で、オーストラリア、中央アメリカ、南アメリカ、太平洋諸島を原産地とします。
日本では東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県、鹿児島県、沖縄県で記録があります。
体長はメスが12~16㎜、オスが6~8㎜でメスの方が明らかに大きく、体色には白から黒まで変異がありますが
一般的にはメスは球形の腹部が黒褐色で赤褐色の斑紋があり、腹部腹側にも砂時計のような形をした赤色の模様があります。一方オスは灰白色で中央に白色の斑紋が入り、その両側に黒線が2本並びます。
卵嚢は薄黄色で表面に多数の突起物があるのが特徴です。
都市部の建物周辺や側溝の中などに生息し、不規則網を造り主にアリやカメムシなどの小型の昆虫を捕らえて食べます。
メスは3年程の寿命がありますがオスは半年から1年程の寿命しかなく、メスの1回の産卵数は50000個程度。この数字はゴケグモ属の中では多い方だとされています。
ハイイロゴケグモの毒
ハイイロゴケグモはメスのみが神経毒のα―ラトロトキシンという毒を持っています。
人間が咬まれると激しい痛みや嘔吐、疼痛、熱感、掻痒感、紅斑、硬結などを伴い数時間から数日その症状が続く程度ですが、時には脱力や頭痛、筋肉痛、不眠などの全身症状が数週間継続することもあり、重症例としては進行性の筋肉麻痺が生じたこともあります。
小さな昆虫たちがハイイロゴケグモに噛まれると神経伝達物質であるグルタミン酸の伝達が阻害され、動けなくなってしまいます。
ハイイロゴケグモに注意
ハイイロゴケグモはセアカゴケグモよりも攻撃性は低いと言われていて、日本においての咬傷被害はもちろん、生息数が多いとされている中南米においてもここ数十年の間の死亡例は報告されていません。
しかし、万が一咬まれた時には傷口を流水や石鹸水で洗い、医療機関を受診することをおすすめします。
駆除の方法としてはピレスロイド系の家庭用殺虫剤を散布するか、皮膚に触れないように靴などで踏みつぶす、熱湯をかけるなどの方法があります。
ハイイロゴケグモに注意しなければならない場所として、具体的には日当たりの良い暖かい場所や物陰、地面や建物の隙間、裏側などに営巣し、具体的にはベンチや自動販売機の裏、フェンスや壁の隙間、室外機、側溝、外に出ているサンダルの中等。
しばらく放置しておいた靴やサンダルなどは履く前に一度中を確認してから吐くようにするのが賢明です。
外来種問題
日本では1995年に神奈川県で初めて確認された比較的新しい種類で、おそらく資材に紛れ込んで侵入したものと考えられます。
2005年には外来生物法によりゴケグモ属のうちハイイロゴケグモとクロゴケグモ、セアカゴケグモ、ジュウサンボシゴケグモの4種類が特定外来生物に第一次指定されていますし、2015年にはこの4種類以外でもアカオビゴケグモというクモ以外のゴケグモ属全部を特定外来生物に指定するべきだという検討が行われています。
ちなみにアカオビゴケグモはもともと日本の在来種でそれ以外のセアカゴケグモはオーストラリアやニュージーランド、南太平洋諸国に分布し、クロゴケグモは北米原産で北米大陸東部のオレゴンとニューヨークの緯度付近まで分布しています。
他にツヤゴケグモは北米西部に分布し、ゴケグモ属は31種類に分類されています。
(ライター ナオ)