哺乳類と言えば、基本的には「胎生」の生き物。

しかし中には例外的に、「卵生の哺乳類」というものが存在します!

 

最も有名なのは「カモノハシ」ですが、じつはそれ以外にも卵生の哺乳類がいるということを知っていましたか?

今回はそんな卵生の哺乳類について、紹介していきたいと思います。

卵生哺乳類の代表格「カモノハシ」

卵生哺乳類と言えば、だれもが知っているのは「カモノハシ」ですね。

哺乳類でありながら、アヒルのようなクチバシや水かきを持つ不思議な生き物。

 

そんなカモノハシは、水辺に穴を掘った巣を作り、その中で1~3個ほどの卵を産みます。

産まれた卵は母親によって温められ、10~12日間で孵化。

 

その後は他の哺乳類と同様に、母親が母乳を与えて子育てするのですが…。

カモノハシは乳首を持たないため、皮膚から滲み出てきた母乳を子供が舐めるという変わった授乳方法をとります。

カモノハシはどちらかというと、哺乳類というのが嘘くさく感じてしまいますよね。

 

卵生だという事実に全く違和感がなく、むしろ仮に胎生だったほうが違和感がある、と言いますか…。

「カモノハシは鳥の仲間です」と言ったら、うっかり信じてしまう人もいるのではないでしょうか?

とても小さな卵を産む「ハリモグラ」

ハリモグラはカモノハシと同じカモノハシ目の仲間です。

見た目こそハリネズミのようですが、その生態や進化のルーツは全く別物。

ハリモグラもれっきとした卵生の哺乳類であり、繁殖期には体にある「育児嚢」という袋の中に一つだけ卵を産みます。

卵の大きさは1.5~1.6㎝ほどしかなく、そこから生まれる赤ちゃんも体長はわずか1.5㎝ほど。

孵化した赤ちゃんは針が生え始める生後2~3ヵ月頃までを育児嚢の中で過ごします。

 

授乳も育児嚢の中で行われ、乳首を持たないハリモグラは皮膚から母乳がにじみ出てくるそうです。

他の哺乳類のように「乳首の取り合い」になることは無さそうなので、もっとたくさん卵を産んだらいいのに、と思いませんか?

しかし大きくなってくると、何匹もいると育児嚢の中に入り切れなくなるから、あえて一匹だけなのか…?

 

卵生って出産が楽そうなので、人間もハリモグラみたいになればいいのに!

そしてハリモグラの仲間である「ミユビハリモグラ」も当然卵生の哺乳類。

 

現存している生き物の中で、卵生の哺乳類は「カモノハシ」「ハリモグラ」「ミユビハリモグラ」のみです。

一体なぜ彼らだけが、こんな特殊な生態になったのでしょうか?

哺乳類なのに卵生な理由とは?

今の時代、「哺乳類と言えば胎生」というのが当たり前のようにスタンダードです。

しかし実は、元々現存する哺乳類たちの祖先を辿って行くと、皆「卵生の哺乳類」にたどり着くのです!

 

哺乳類は卵生の爬虫類の中から進化した一握りのものが、母乳で子どもを育てるという進化を遂げた姿。

哺乳類が誕生した当時では、卵生のほうがスタンダードだったというわけですね。

 

カモノハシやハリモグラは「生きた化石」と呼ばれるほど、大昔から姿形を変えずに生きている生き物たち。

彼らが卵生であるのは、より原始的な生き物の姿を現在まで残している、貴重な例です。

そう考えると、なんだか「元祖」のほうがパチモン扱いされた時のような寂しさがありますね…。

卵生の哺乳類についてのまとめ

4000種以上いる哺乳類の中で、卵生なのはカモノハシ、ハリモグラ、ミユビハリモグラ(3種)の計5種のみ。

中でもミユビハリモグラは絶滅の危機に瀕しており、カモノハシやハリモグラも同様に減少傾向にあります。

 

彼らが絶滅してしまうと、いつかは卵生の哺乳類なんて存在が「都市伝説」扱いされてしまう日も来るのでしょうか。

そんな日が来ないことを祈って、彼らにはたくましく生きて行って欲しいですね。

(ライター もんぷち)