最近被害が多く報告されているキクイムシという虫をご存知ですか?
あなたのお家でキクイムシの被害はありませんか?
今回はキクイムシについて詳しくお話ししていきます。
キクイムシの特徴と生態
キクイムシはコウチュウ目キクイムシ科に属する甲虫の総称です。
日本では少なくとも300種類以上が確認されており、その多様性はかなり高いと言われています。
森林に多くの種が生息し、坑道が掘られた木の幹を砕くと沢山の幼虫が出てきます。
基本的に成虫、幼虫とも樹木の材をたべることから木食い虫の名前がついたと言われていて、材の中や樹皮の下に細い巣穴を掘って生活していますが、ほとんどの種が多かれ少なかれ菌類と共生して材の栄養摂取を行っています。
通常は衰弱した樹木に穴を開ける種類が多いのですが、そういった種類でも大発生したときには健康な樹木を食害することも知られており、森林害虫として重要視されている種類も沢山います。
幼虫は産卵に適した大きさの導管のあるラワン、ナラ、ケヤキ、シオジ、タモ、キリ等の材を好み、木材表面で冬眠して春に孵化します。
通常5~6月頃に成虫が小孔をあけて飛び出し、その際に木くずと糞を一気に外に排出します。
成虫は赤褐色~暗褐色で体長は3~7㎜。
幼虫は成熟期で体長5~6㎜の乳白色~黄白色です。
成虫の寿命はオスが約1週間、メスは10日前後で、昼間は脱出孔内や導管内に潜み夜間に飛び回ったり、メスの場合は産卵もします。
メスは産卵の際、材の貯蔵物やや水分が幼虫の発育に適切かどうかを確かめ、産卵管を導管内に挿入し、産卵します。
ヒラタキクイムシの場合、卵の直径は0.18~0.2㎜、長さは0.8㎜の楕円形。一匹の産卵数は20~70粒程と言われています。
通常1か所に3~5粒程産卵します。
産卵期間は10日以内で孵化した後は一旦休眠に入った後7~10日後に脱皮して2齢幼虫となります。
キクイムシの被害
キクイムシは木の栄養分のでんぷん質を必要としますから、被害を受けるのは枯れたり湿って腐りかけの木ではなく、新しい木材です。
同じ理由で針葉樹材や広葉樹材芯材部には加害しません。
ですから、住宅や家具などの木材が被害にあうと、建物や家具の美観を損ねるだけでなく、木材としての強度も失います。
被害は4~6月頃に多く、家の中の木材部分や家具の中などで木材の粉が見つかることがあり、粉の中心部には直径1~2㎜の穴が開きます。
一度キクイムシに侵されると一時虫糞の発生が止んで被害がストップしたように見えても毎年発生が繰り返され、2~3年で材の価値が大きく失われるという事態に陥りかねません。
例としては新築の校舎に既に被害が確認されていた机やいすを持ち込んだため、5~6年のうちに校舎の大部分に被害が蔓延し、床板などが落ち込む被害にまで至ったということが挙げられます。
また、工場に堆積された土場で成虫の飛翔を見つけ、駆除したつもりだったが2~3年後に同工場敷地内の寮、住宅の玄関、廊下、階段などのフローリング材に被害が移動した例もあります。
キクイムシの存在を確認したら、完全に絶滅するまで十分に駆除する必要があるという事です。
キクイムシの被害の増加
近年キクイムシの被害が増加していると言われる理由の一つに、住宅事情があります。
シックハウス症候群などが話題になった頃から無垢材や自然素材で家を建て、木材の表面にニスやラッカーなどの仕上げを施さない住宅が増加しています。
材質が良く、その上キクイムシなど昆虫の嫌う塗装をしないわけですから、キクイムシが飛びつくのは当然なのです。
キクイムシの駆除
キクイムシの穴を見つけたり、木粉状の糞が発見されたら、穴の中に殺虫剤を吹き込みます。
更に穴の周辺にドリルなどで直径数ミリの穴を複数開け、そこから薬剤を注入すると更に効果的です。
材の表面にもエアゾールなどを吹き付けておくと、新たな産卵を回避することができます。
皆さんもぜひ、キクイムシにご注意を!
(ライター )