水槽で金魚などの観賞魚を飼育したことのある人なら、きっと見たことがあるスネール。
スネールとは一般的には小さな巻貝類のことで、私たちが見ることが多いのはサカマキガイやモノアラガイという種類です。
今回は、そんな水槽のスネール達について詳しくお話します。
サカマキガイの特徴と生態
サカマキガイは栄養がありすぎる富栄養化した用水路や止水域に生息している貝です。
名前は殻が多くの巻貝類とは逆の左巻きであることに由来すると言われています。
触角が細長い鞭状で、世界各地に移入、帰化し、日本でも全国に分布しています。
殻高は10㎜前後、殻径は5㎜前後の紡錘形で、体層は殻高の2/3~4/5を占めていて、殻は薄く、表面は滑らかで光沢があります。
殻の色は薄茶色や黄褐色ですが、泥などの付着や軟体部が透けて見えることによって黒っぽく見えることが多いうえ、形態が環境によって変化することもあります。
軟体部分は墨色に近い暗色ですが、時に淡色の個体が現れることもあります。
雌雄同体で他個体との交尾もしますが、自家受精する場合も多く、卵生で透明なゼラチン質の卵のうを水中の物体に付着させます。
水温が一定以上であればほぼ1年を通して繁殖し、水槽内などでは瞬く間に増えることもあります。
水面に逆さにぶら下がって移動する生態も有名です。
モノアラガイの特徴と生態
モノアラガイは落ち葉や藻類、死骸などを捕食する殻高、殻幅20㎜前後の卵円形の貝です。
日本では北海道から九州の日本各地に、また朝鮮半島のため池や淀んだ小川、水田、沼や池などの富栄養化の進んだ止水などに生息しています。
殻は薄く、色は薄茶色やあめ色で透明感がありますが、模様や陽刻などは鳴く、整腸脈があるのみです。
殻の口は広く、殻高の8割前後にも及びます。
軟体は黒い斑模様がアリ、殻の上からでも透けて見えるので生きている時には一見殻に模様があるように見えます。
雌雄同体ですが他個体と交尾し寒天質の袋に入った数個~数十個の卵を水槽や石などの6月頃から産み付けます。
卵は2~3週間で孵化して2~3ヵ月程度で成熟して繁殖し、繁殖力は比較的強いとされています。
日常的に水面を逆さになって這う行動が知られています。
ちなみに数十年前までは一般的にみられる普通種だったモノアラガイですが、富栄養化が極端に進んだ場所では生息できないということやサカマキガイなどとの競合に負けたことなどから、数は激減しているようで、2000年以降は環境省の作成した貝類レッドリストで準絶滅危惧種に指定されています。
スネールの駆除
サカマキガイやモノアラガイはを繁殖させないようにするには水槽内の富栄養化を防ぐことと、弱アルカリ性で硬水の水質にせず、弱酸性の水質で飼育する、というのが最も効果的ですが、万が一スネール達が増えてしまった場合の駆除方法として、いくつかご紹介します。
まずは地道にひとつひとつスネールを手で取り除くという方法。
水槽内で葉や芽にスネールを確認した場合で、まだ個数が多くない場合はこの方法で十分対応できます。
繁殖して既に相当な数になってしまった場合は天敵である、かぶる貝や他の魚類を投入するという方法もあります。
例えば熱帯魚のトーマーシー、アベニーパファー、貝類であればレッドラムズホーンやスネールキラースネールが挙げられますが、これらの生物は飼育している生物との相性や、貝類に関して言えば、スネール駆除のために投入した貝が逆に増えてしまうと言った現象も起きてしまうので、経緯を観察することは欠かせません。
最もおすすめなのは水槽全体をリセットしてしまうことです。
水を替え、水槽内をしっかり薬品や熱湯消毒などをして綺麗にリセットしてしまいます。
卵などがあればなおさらこの方法は有効です。
少々面倒かもしれませんが、綺麗な観賞用の水槽を実現するのであれば、ぜひおすすめです。
(ライター ナオ)