虎は日本にもともと生息している動物ではありませんが、なぜか虎を使った故事やことわざは沢山存在します。
そんな虎の入った故事とことわざをいくつかご紹介していきます。
虎の威を借る狐(とらのいをかるきつね)
虎の威を借る狐は権威を持つ者に頼って威張る小者のことを言います。
これは戦国策に基づくお話からきていると言われてます。
虎が狐を食べようとしたときに、狐が「私は帝王から百獣の王に任命されました。私を食べたら帝王の意に背くことにでしょう。嘘だと思うなら私についてきなさい」と虎にいいました。
虎が狐の後についていくと、行き合う獣たちは皆逃げ出していき、虎は獣たちが自分を恐れていたことに気づかず、狐を見て逃げ出したのだと思い込んだという話。
虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
このことわざは危険を避けていては大きな成功も有り得ないということのたとえとして使われます。
虎の子を得るためにはトラの棲む洞穴に危険を冒して入らなければならないことから、危険を冒さなければ大きな成功や功名は得られないということで、後漢で起こった戦いで危機に陥った時に上司が部下に行った言葉。
前門の虎、後門の狼(ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ)
前門の虎、後門の狼は一つの災難を逃れてもまたもう一つの災難が襲ってくることの例え。
前の門からきた虎を追い払ったと思ったら、今度はうしろの門からオオカミがやって来ることに由来していて、同じようなことわざには一難去ってまた一難などが挙げられます。
虎に翼(とらにつばさ)
ただでさえ強い者に、更に何か他の威力を加えることを言い、元から勢いのあるものにより力を加えて一層勢いづかせることを言います。
日本で使われている鬼に金棒のようなもの。このことわざは韓国で良く使われていることわざです。
張り子の虎(はりこのとら)
肩書だけ立派だけけれど実力のない人や、弱いくせに三重を這って強く見せようとする人、またうなずく癖があったり、何にでも同意して自分の意見を持っていない人のたとえ。
張り子の虎は一見強そうですが原材料は紙と竹だけのおもちゃ。更に張り子ですから首を上下に振ってばかりいます。この2つが合わさって出来たことわざです。
虎の子(とらのこ)
虎は自分の子供を大事に守り、とても可愛がると言われています。そのことに由来して大切に持ち続けて手放さないもの、秘蔵品の例えとして使われます。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残す(とらはししてかわをとめ、ひとはししてなをのこす)
虎が死んだ後も美しい毛皮を残すように、人は死んだ後に名前を残すような生き方をすべきだという教え。
虎は死んだ後にその毛皮が珍重され、偉業を成した人は死んだ後にその名前が語り継がれます。
人は名誉を重んじることが大切だという教訓として言われることわざ。
羊質虎皮(ようしつこひ)
外見だけは立派だけれど、それに実質が伴っていないことの例え。
実際には羊なのに、虎の皮を被っているの意味からきていて、「虎皮羊質」や「羊質にして虎皮す」ともいわれます。
虎の尾を踏む(とらのおをふむ)
虎の尾を踏むと極めて危険なことから、非常な危険を冒すことの例えとして使われます。
かみ殺されるかもしれない恐ろしいトラの尾を踏みつけるようなものだという意味からきています。
苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし)
悪性は人を食い殺す虎よりも恐ろしいことの例えで、中国で孔子が泰山の麓を歩いていると、一人の婦人が墓の下でないていて、そのわけを聞くと「夫と子供と舅が虎に食い殺された」と答えました。
孔子が「それならば、何故この地から出ていかないのか」と尋ねると、夫人は「ここでは税金を取り立てるむごい政治が行われていないから」だと答えた故事に基づくことわざ。
(ライター ナオ)