ライオンと言えば、大型の哺乳類をメスがハンティングして、集団になって生肉をむさぼっている姿が印象的ですが、動物園では一体どんな餌を食べているのでしょうか?

野生のライオンの狩り

野生のライオンは集団で協力しあって狩りを行います。

メスの心臓は体重の0.57%、オスに至っては0.45%ほどだと言われていて、狩りをする時に出す時速81㎞のスピードはごくわずかの時間しか維持することが出来ないと言われています。

ですから、捕獲する時は十分に獲物まで近づき、半径30m以内まで詰め寄ってから失敗のリスクを最大限に減らしてから行います。

また、メスたちは目立ちにくい夜間に狩りを行うのが一般的です。

アフリカではヌー、インパラ、シマウマ、スイギュウ、イボイノシシなどが多いのですが、インドではニルガイやイノシシ、シカなどが捕食の対象となります。

 

また時としてノウサギやヤマアラシ、マングース、オオミミギツネ、ラーテルなど小型の動物を襲うこともあるようですし、場所によってはゾウやキリンなどが対象になることもあるようです。

 

一般的に190~550kgの哺乳類を常食しているという研究結果が報告されていて、アフリカではヌーが最も多く、次いでシマウマだそうです。

オスライオンは狩りをせずにぐーたらのイメージがありますが、大型の哺乳類を襲う時にはオスライオンもかなり有能なハンターになるそうです。

また、猫でもよく見かける光景ですが、ライオンも消化を助けるために草などを食べることもあるようです。

動物園のライオン

野生下でライオンたちは毎日食事にありつけるわけではありません。

空腹の期間が続くこともあり、そんな後のご馳走では1頭が一晩で40キロほどの肉を食べることもあるそうですが、それがライオンという動物の自然な捕食形態でもあります。

動物園ではそのことを考慮して1週間に1回は絶食の日を作るというのが一般的だそうです。

通常ライオンは1頭につき1日で4~5キロの肉を食べます。

1週間に換算すると24~30キロということになります。更に1年では1~1.5tです。

 

与えているのは鶏肉と馬肉。それに加えて消化を助けるビタミン剤を与えることもあるようです。

鶏肉は一般的ですが、馬肉もまたかなり安価で出回っている食材のひとつなのだとか。

 

また、鶏肉も鶏頭という頭の部分が好まれ、カルシウムの補助として最適なのだそうです。

噂では保健所などで処分される犬猫がライオンの餌になっているという話もあるようですが、それは決してないそうです。

ちなみに日本平動物園では馬肉4k、鶏頭1.5kの割合、王子動物園では馬肉3.4k、鶏頭1k、上の動物園では馬肉5k、鶏頭2.3kの割合だそう。

 

地域によって、酪農が盛んなところでは廃用のウシなどもエサとして与えられているそうです。

エンゲル係数的には動物園内ではそれほど高いわけではなく、最もエンゲル係数が高いのはパンダ。2位はアジアゾウ、3位はホッキョクグマなのだとか。

 

富士サファリパークやノースサファリサッポロではライオンのエサやりが体験できるそうで、長い串に刺した生肉をライオンの檻に入れるドキドキの経験が出来ます。興味のある人はレッツゴー。

デンマークの動物園で

すっかり余談になりますが、2014年、デンマーク コペンハーゲンの動物園で近親交配を防ぐために処分したキリンを来園者の前で解体し、その死骸をエサとしてライオンに与えたことが世界中の動物愛好家たちから避難されるという事態が起こりました。

 

欧州にはすでにこのキリンの遺伝子を持つキリンが多く存在しており、仕方のない殺処分だったのだそうですが、それを観客の前で行い、ライオンの餌にまでしたという事実が動物愛護意識の強い人たちの異常なまでの怒りをかってしまったようです。

(ライター ナオ)