シモフリスズメという名前の蛾をご存知でしょうか?

何だかサシが入っているみたいで美味しそう!!??

 

なわけはありません。

今回はシモフリスズメについてのお話しです。

シモフリスズメの特徴

シモフリスズメは鱗翅目スズメガ科に属する蛾。

日本全国に生息しています。

 

頭の先端が鋭角的にとがっているようにみえる大き目のスズメガです。

同じスズメガ科のセスジスズメや雲門スズメと比べても一回りほど大きいのが特徴です。

 

灰色の羽に不連続な褐色条がまばらに入ります。

幼虫は緑色で体表はツルツルしている芋虫。

尾角をもち、頭部と尾角には白い突起物がついています。

 

鮮やかな緑色の体には両脇の背部から腹部にかけていくつもの白色のラインが入り、綺麗な模様をしています。

食草はイボタノキ、クサギ、シソ、オリーブ、ネズミモチ、トリネコ、ノウゼンカズラ、キリ、サカキの他、野菜のナスなどにもつきます。

 

終齢幼虫の頃には10㎝ほどまで成長し、蛹化する直前の幼虫は紫色になるのと、蛹が変わった形をしているのが特徴的です。

蛹の状態で越冬し、春に羽化して成虫になります。

 

成虫は昼間、壁や樹幹などに止まってじっとしていますが、夜になるとホバリングしながら花から花へ蜜を吸いに飛び回ります。

成虫の口吻もまた、変わった形をしています。

スズメガ科の蛾

日本でシモフリスズメガと同じ、スズメガ科に分類される蛾で一般的なのは、モモスズメやオオシモフリスズメ、エビガラスズメ、メンガタスズメ、クロスズメ、ビードルスズメなどですが、そのうちいくつかの種類は害虫として駆除の対象になります。

スズメガ科の幼虫は幼齢を重ねるにつれ、10㎝程度の大きさになるものが多く、終齢幼虫の頃に食べるエサの量はかなりのものになります。

その量は幼虫時代に消費する食草のうちの9割を終齢幼虫時代に食すると言われるほどです。

スズメガ科の幼虫の特徴

食草はとても多様ですが、種類によって食べる植物は決まっていて、食べる植物にちなんだ名前がついているものもいます。

スズメガの幼虫は成熟すると食草から地上へ降下し、穴を掘って地中に蛹室を作ります。

 

また、地表で落ち葉などを糸で綴った荒い繭を作ってその中で蛹になります。

中には植物上で食草の葉を紡いで蛹を作る種類もいます。

 

多くの場合スズメガは蛹の状態で越冬しますが、一部の種類は前蛹の状態で越冬し、初夏になってようやく蛹になるものもいます。

蛹の期間は種類によって異なりますが、概ね4~5か月ほど。数週間で羽化するものも多くいます。

スズメガ科の成虫の特徴

スズメガの成虫は鋭角を持ち、比較的ほっそりとした三角形の翅を持っています。

これを素早く羽ばたかせて種類によっては時速50㎞以上の高速で移動するものもいます。

 

飛行速度は飛翔昆虫の中でも最も速い部類に入ると言われているほどです。

翅を素早く羽ばたかせて空中に静止することも出来、その状態で樹液や花の蜜を吸収します。

 

一部の幼虫と同じく、成虫も発音するものが多くいます。捕まえると腹部から発音します。

成虫のエサは花の蜜が多く、それぞれが好みの密腺に届くような口吻を持っています。

オシロイバナやカラスウリなどはスズメガ媒花として知られ、スズメガが受粉を行うように特殊化した花を進化させています。

スズメガ科の利用

スズメガ科の幼虫は害虫としても知られますが、欧米では繁殖力の高さから、幼虫が実験用に大量に飼育されています。

日本でも遺伝などの実験に利用されている種類もいるようです。

 

また、非常に高い栄養価を持ち、将来の食料としても注目されているだけでなく、家畜の飼料としても利用が進んでいるのだそうです。

実際に中国ではスズメガの幼虫をいためたり、焼いたり、生で筋肉をすり潰して肉団子として食べられています。

(ライター ナオ)