北海道に生息する蛾

日本でチョウ目に分類される昆虫のうち、チョウ目に分類される昆虫は3500種類ほど知られています。

しかし、そのうちチョウと呼ばれるものはたったの250種類に過ぎず、他は全て蛾。

世界的にみると蛾はチョウの20~30倍ほど生息していると考えられています。

 

北海道の蛾は本州の蛾が年に2~3回ほど発生するのに対し、1回ほどしか発生しない種類が多く、天候や気温次第では稀に2回発生することもある程度。

北海道に生息する蛾のうち、メジャーなものをいくつか紹介していきます。

ヤママユ

ヤママユは北海道から九州にかけて分布し、全国の落葉性雑木林に生息しています。

ヤママユガ科の蛾は成虫の口が完全に退化していることで知られています。蛹以降は一切のエサは摂らず、幼虫の時期に蓄えた栄養だけで生きます。

前翅長は70~85㎜で翅はとても厚くて大きいのも特徴です。

4枚の翅にはそれぞれに大きな目玉のような模様があります。

幼虫はナラ、クヌギ、コナラ、クリ、カシ、カシワ、ミズナラなどの葉を食べます。

 

年1回の発生で、出現期は8~9月頃、卵の状態で越冬します。

天蚕糸と呼ばれる糸がとれ、これは絹よりも軽くて柔らかいのが特徴で、糸の中に空気が入っている為保温性が高く、日本では古くから天蚕飼育が行われてきました。

クスサン

クスサンもヤママユガ科に分類される大型の蛾です。

成虫は翅を広げると100m以上、褐色の大きな翅を持っています。

 

幼虫はクリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウ、クスノキ等様々な木々の葉を食べます。

年1回の発生で、卵で越冬し、幼虫は4~7月に出現します。

 

幼虫の体長は80㎜にも及ぶ大型で、白色の長い毛を生やしている毛虫。

シラガタロウと呼ばれることもあり、青白い色をしています。

楕円形の固い網目の繭を作り蛹になり、9~10月にかけて羽化します。

セグロシャチホコ

セグロシャチホコはポプラ類やドロノキ、ヤナギ類などを加害する体長30~40㎜程の蛾です。

幼虫が葉を食害します。

 

幼虫は蛹で越冬し、蛹で越冬したものは5月上旬暗いから羽化します。

成虫は葉裏に300~400個固めて産卵し、孵化したばかりの幼虫は集団で食害していますが、徐々にばらけていきます。

7月頃になると葉を巻いて薄い繭を作り蛹化します。

ブナアオシャチホコ

ブナアオシャチホコは北海道では道南地域にしか分布していません。

年に1世代で、蛹で越冬します。

 

6月頃に成虫が出現し、ブナの葉の裏に20~100粒ずつの卵を産み付けます。

卵期間は8~11日で、孵化した幼虫は3齢頃までは集団で食害しますが、4~5齢になると文さんしていきます。

幼虫の背線の色は個体によって白色、黄白色、黄褐色、赤褐色と色々な色です。

マイマイガ

マイマイガは日本全土に分布している蛾です。

日本全国で10年に一度の周期で大発生することが知られていますが、葉を食害することはありません。

 

北海道でも大量発生が確認されています。

年1世代で卵で越冬します。

 

5月上旬に孵化した幼虫は気温が18℃を超えるようになると幹を上り、葉を食べ始めます。

若齢幼虫は糸を吐いて垂れ下がり、風にのって分散するが特徴で、ブランコ毛虫などと呼ばれることもあります。

ノンネマイマイ

ノンネマイマイは日本全土に分布する蛾です。

エゾマツや他のトウヒ類、トド松、カラマツ、などの針葉樹の他にもミズナラやシラカンバなどの葉を食害します。

 

北海道では発生の記録はありますが、マイマイガのように大量発生したという記録はないようです。

年1世代で卵で越冬します。

 

5月下旬に孵化し、7月中旬に老熟した幼虫は枝葉の間に薄く糸をはり、中で蛹化します。

8月に羽化し、成虫は樹幹の裂け目、または粗皮の下に20~30個の卵を塊状に産み付けます。

(ライター ナオ)