お馴染みの水生昆虫、ゲンゴロウ。
日本には約100種類ほどが生息していると言われています。
そんなゲンゴロウが絶滅危惧種って本当でしょうか?
ゲンゴロウの特徴と生態
一般的にゲンゴロウと私たちが行っているゲンゴロウはナミゲンゴロウやオオゲンゴロウです。
コウチュウ目ゲンゴロウ科ゲンゴロウ亜科ゲンゴロウ属に分類されます。
日本では北海道、本州、四国、九州に生息していて、シベリアにも分布しています。
1950年代頃までは日本各地の水田や池に生息し、昔から親しまれてきた昆虫です。
成虫体長は34~42㎜の平たい卵形で、ゲンゴロウの中では最大級サイズ。
体色は緑色か暗褐色で光沢があります。
メスは細かいしわが多数あるので、光沢が弱いのが特徴です。
触角・口枝は黄褐色、脚は黄褐色から赤褐色で符節はやや暗色です。
雌雄とも後肢付近には両側に遊泳毛と言われる怪我生えています。
腹面は黄色から黄褐色で光沢が強く、前胸腹板突起、後胸内方、後基節内方は黒色です。
オスの交尾器中央片は先端部は単純で急に細くなります。
幼虫は細長い紡錘形で体長は63~78㎜、単眼は6対あり、触角は6~9節。
背面は灰褐色や黄褐色で黒色の斑点が散在しています。
側面と腹面は白色~灰白色ですが、頭部や前胸。腹部第7節及び第8節は黄褐色あるいは暗褐色となり、脚は黄褐色です。
ゲンゴロウの成虫は春から秋頃にかけて交尾、メスはホテイアオイやオモダカ類、コナギ等の水田雑草や水草の茎に直径2~4㎜の円形の傷をつけて、茎内部の組織内に1~2個産卵します。
メスの腹端には出し入れできる左右に扁平な産卵管があり、それを噛み傷に押し込み産卵します。
こういった産卵場所を選ぶのは魚などの天敵に捕食されるのを避けるためだと考えられます。
卵は幅約1㎜、長さは約13㎜野細長い形で、産卵後役2週間程度で孵化します。
幼虫は細長い体をしており、孵化直後の1齢幼虫は体長が約25㎜程。脱皮して体長約40㎜の2齢幼虫に変態し、更にもう1回脱皮して変態します。
脱皮は水中で行われ、まず胸部の背中側が中心から割れて、その割れ目が前後に広がります。
幼虫の胸部、頭部が抜け殻から抜け出して、最後に腹部が抜けて脱皮は完了です。
終齢幼虫は成虫の体長のほぼ2倍にまで成長します。
幼虫はとても立派な大顎を持っており、その顎は注射針状になっています。
獲物に食いつくと獲物を麻痺させる毒と消化液を同時に体内に注入し、体液と消化されて液状化した筋肉や内臓などの組織を吸います。
自分よりも体の大きな獲物や、時には人間に噛みついて怪我を負わせることもあります。
成虫も同じように捕食し、小魚や甲殻類、時には共食いすることもあります。
絶滅危惧種のゲンゴロウ
日本に生息するゲンゴロウのうちの多くの種類が絶滅危惧種や準絶滅危惧種に分類されています。
それらの多くは農薬や水質汚染、ため池におけるブラックバスやアメリカザリガニの無差別放流などによるものや、河川改修によって土手が今リートになり、産卵場所を奪われてしまったことによるものと考えられています。
かつてよく見かけていたナミゲンゴロウも現在ではかなり珍しい昆虫になってしまいました。
しかし、一方では未だに平地や沼、水田で普通にその姿を見られるような青森県、秋田県、東北地方や長野県、山梨県、新潟県などもあります。
絶滅危惧種に指定されているゲンゴロウはマルコガタノゲンゴロウやフチトリゲンゴロウ、ヒメフチトリゲンゴロウ、コガタノゲンゴロウ、エゾゲンゴロウモドキ、シャープゲンゴロウモドキ、マダラシマゲンゴロウ、オオイチモンジシマゲンゴロウ、スジゲンゴロウ、マルガタゲンゴロウなどです。
(ライター ナオ)