渦巻き状の殻を背負っているカタツムリ。

そんな姿に、「殻は何でできているの?」「なんで殻を背負っているの?」と疑問に思ったことはありませんか?

中には、「ナメクジが殻を背負ったものがカタツムリだ」なんて思っている人もいるかもしれません。

 

(子供のころは、私も本気でそう思っていた時があります…)

ここでは、そんなカタツムリの殻の謎について、迫っていきたいと思います。

カタツムリの殻はどうやって出来る?

カタツムリは、ヤドカリのようにどこかで殻を見つけてきて背負っているのではないか…と思っている人はいますか?

たまに空っぽの殻が転がっていたりもしますから、そう思うのも無理はありません。

 

しかし、カタツムリの殻は後から背中に乗せたものではなくて、生まれた時から装備されているものなのです。

その証拠に…数ミリくらいしか大きさのない生まれたての赤ちゃんにも、ちゃーんと殻がついています!

 

空っぽの殻は、単に中身だけ他の虫に食べられたか、死んで殻だけ土に還らずに残ったものでしょう。

殻の主成分は石灰質(炭酸カルシウム)。

 

その表面を、「殻皮(かくひ)」と呼ばれるキチン質でできた層が覆っています。

カタツムリは巻貝の仲間なので、基本的にサザエなどの貝類と同じ構造です。

ヤドカリなどはこのような巻貝を背負い、体の成長に合わせて大きなサイズのものへと引っ越すわけですが…カタツムリは、体が大きくなっても引っ越しはしません。

生まれた時には数ミリしかない殻なのに、なぜ体が大きくなるにつれて殻まで大きくなるのか…とても不思議ですよね。

 

カタツムリは体の成長に合わせて、どんどん殻の入り口に石灰質を塗りつけて、サイズアップしているのです。

小さい部屋から大きい部屋へとどんどん増築して、大きくなった部分に住んでいるとイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。

 

しかしそうなると、もう一つ新たな疑問が。

「主成分の石灰質は、どこから補給しているのか?」…確かに、カタツムリは葉っぱや野菜が主食なので、石灰質(炭酸カルシウム)を摂取できているとは思えません。

 

その答えは驚くことに…「コンクリート」なのです!

コンクリートの表面から染み出している炭酸カルシウムを舐め、原料としているというのです。

 

「じゃあ、コンクリートがない時代にはカタツムリはどうしていたの?」という疑問もごもっとも。

その場合は、石灰岩や他のカタツムリの死骸(殻)などから、カルシウムを得ていたのです。

そのため、石灰岩の多い場所では、足の踏み場もないほどカタツムリが繁殖していることもあるんだとか…。

カタツムリの殻の役割は?

ナメクジを見ていると、「カタツムリの殻って必要あるのか?」という気分になりますよね。

しかし、殻には大切な役目があるのです。

外敵から身を守る「鎧」

カタツムリは動きが遅いですから、敵に狙われることも数知れず。

そこで、殻は外敵から中身を守るための重要な役割を果たしているのです。

ちなみに…ナメクジとは違い、カタツムリは殻の中に内臓がむき出しで入っています。

つまり、殻も体の一部だということ。

 

なので、殻をとってもナメクジにはなりません。

無理に分離しようとすると、内臓まで出てきて死んでしまいますから、決してそんなことをしてはいけませんよ。

環境の変化から身を守る「家」

カタツムリは体が常に湿っていないと生きていけません。

むき出しの体ではすぐに乾燥してしまいますが、殻の中に閉じこもることで湿気をキープすることができるのです。

 

ナメクジがジメジメした場所でしか活動しないのに比べ、カタツムリが割と日の当たる所にいたりするのは、殻のおかげ。

そして、冬の寒さから身を守るためにも、大いに役立っています。

カタツムリの殻についてのまとめ

もしも空っぽの殻を見つけた時には、じっくりと観察してみてください。

切断して中の構造を確認してみるのも、面白いかもしれませんね。

ただし、生きているカタツムリから殻をとると死んでしまうので、あくまでも空っぽになったものでお試しください。

(ライター もんぷち)