ヒトの耳の中にカタツムリの殻の渦を思わせるうずまき管というものがありますが、カタツムリは聴覚をもたないので無音の世界に生きています。
そんな不可思議なカタツムリに毒があるという話があるそうです。どうなのでしょうか。
カタツムリについて
カタツムリは陸上に生きる殻のついた生物という事で、一応腹足類の一種です。
しかし分類に当てはまらないところも多々あり、はっきりと何類であるといい切れない特殊な部分が多くあります。
そういう意味でカタツムリは自由な生物であるといえるかもしれません。
カタツムリという呼び方はわりと最近になって定着したようです。
地域により呼び方が多様です。マイマイ、でんでんむし、蝸牛など、どれも殻のついた軟体動物のカタツムリのことです。
カタツムリは動きがゆっくりです。あまり長い距離を移動できずご当地カタツムリともいえそうなほど、生息地域によってカタツムリの種類や生態、呼び方にまで違いがあります。
カタツムリの特色
カタツムリたちは生態が多様です。
だいたい初夏から秋口に見られますが、極寒や酷暑は苦手です。
大雨も苦手でそんな時は葉の裏などにくっついています。
不思議に思える生態は枚挙にいとまがないのですが、主なものを以下に記します。
- 前にしか進めません。
- 詳しい移動方法は実は不明確です。
- オスでもありメスでもあります。
- 雌雄がはっきりしているカタツムリもいるようです。
- 交尾に時間がかかりすぎます。
- 卵生です。
- 殻には右巻きと左巻きがあります。
- 夏眠し、冬眠する事もありあます。
- 肺呼吸です。
- 変温動物です。
- 触角は2対ありますが、夜行性で明るい方向がわかる程度のようです。
殻以外の体の部分は首といいます。殻から出ている部分に、おろし金のような歯、肛門があります。
二対のうち一つが目であり、もう一つが生殖器です。
殻に覆われている部位にカタツムリの内臓のようなものが入っています。
予想されることですが産卵にも非常に時間がかかります。
土の中に潜って首の部分から卵を産みます。カタツムリはだいたいのことを首ですませてしまいます。
カタツムリの殻について
カタツムリは殻の成長の為に何としてもカルシウムが必要なので、死んだカタツムリの殻を齧る事もあります。
餌を探すのにも時間がかかるので積極的になんでも食べます。
また、カタツムリの殻の渦巻きは等角らせんになっています。
カタツムリの殻は、等角の三角形をぐるぐると回転させるように大きくしながら徐々に成長していきます。
カタツムリの毒性
カタツムリには毒があるのよ、なんていう話を小耳にはさんだことがある人もいるかもしれません。
カタツムリには毒はありません。ただ、何らかの寄生虫がいる場合もあります。
カタツムリを素手で触った後は、石鹸で手をよく洗い流水で洗いながしてください。
オカモノアラガイについて
オカモノアラガイという種類のカタツムリに、ロイコクロリディウムという寄生虫がいるので、ヒトに被害があるのではないかという話があります。
ロイコクロリディウムは、カタツムリを宿主とする寄生虫の一種で主な生息地はアメリカやヨーロッパです。
この寄生虫は、卵の時に鳥の糞に紛れており、それをカタツムリが食べることでカタツムリの体内に入り、徐々にカタツムリを操るようになります。
恐ろしい話ですが、このカタツムリをヒトが食べるとその寄生虫も一緒に体内に侵入します。悪くすると髄膜炎をおこします。
オカモノアラガイの見た目の特徴は、白っぽくやや細長いような巻貝状の殻のカタツムリです。
この寄生虫がいるカタツムリは見た目が変化します。触角の部分が緑色になったり、真昼間に道路を歩いたり見るからにおかしな感じになります。
カタツムリ又は野生の生き物を触ったら、手を洗う習慣をつけましょう。あとはカタツムリを生で絶対に食べないようにしましょう。
カタツムリに寄生する虫など
寄生には体表につくものと、体の内部に入り込み寄生するものがあります。
カタツムリの体の表面につくものとして、カタツムリダニというダニの一種がつくことがあります。
広東住血腺虫(カントンジュウケッセンチュウ)という虫はカタツムリの体内に寄生するものです。
もともと東南アジアなどに生息するネズミ類やカタツムリに寄生する虫ですが、アフリカマイマイというカタツムリの一種と共に日本に入ってきました。
この寄生虫の場合も、ヒトに寄生するタイプではないようですが、食べると体内に侵入しますからやはり何らかの症状を起こす可能性があります。
寄生虫というものは、宿主の体内に侵入する事で生きています。食用ではないカタツムリを勝手に食べてしまう場合を除き、ヒトに重篤な影響があるとは考えられませんが、何でも口にしてしまうお子さんなどの場合は大人の注意が必要です。
カタツムリ
カタツムリそのものには毒はありません。
しかし、何でも食べるからか寄生虫に宿主とされてしまう場合もあります。ちょっとかわいそうですね。
ヒトに対する被害は今のところ生では絶対に食べないという事を徹底することで防げそうです。
あとは、野生の生き物を触ったら必ず手を洗う習慣をつけることも大切です。
余談ですが、カタツムリの殻の渦を見ていると心が落ち着くという方はいるのでしょうか。
自分はなぜか子供の頃かららせん状の渦巻きをみると落ち着くので、カタツムリの渦巻きを見るのが好きです。
毒はありませんがよく注意して、今のお子さんにもカタツムリに関心を持ってほしいな、と思います。
※参考『カタツムリの謎』野島智司著/新光社/2015
(ライター:おもち)