一匹だけで飼育していたカタツムリが、なぜか卵を産んでいた…という事態に出くわしたことはありませんか?
オスとメス、二匹揃わないと繁殖はできないのではないかと思いますよね。
しかしそこには、カタツムリの驚くべき生態が隠されているのです。
今回はそんなカタツムリの生態や性別について、詳しく見ていきたいと思います。
カタツムリの性別について
卵を産んだカタツムリ、それはオスだと思いますか?メスだと思いますか?
当然のことながら、卵産むのは「メス」ですよね。
しかしカタツムリの場合、そうとは言い切れないのです。
じつはカタツムリ、「雌雄同体」という一匹でオスメスどちらの役割も果たせる体の造りになっているのです。
つまり、すべての個体が卵を産める機能を持っているということですね。
時々「カタツムリの性別の見分け方」などを質問している人を見かけますが、見分け方などありません。
全ての個体が同じ構造なのですから。
「異性」相手でなくても子孫を残すことができるというのは、厳しい自然界を生き抜く上で大きな利点。
同じ種の仲間と出会えさえすれば、オスメス関係なく繁殖が可能ですからね。
更にカタツムリのすごいところは、「自家受精」も可能だという点。
「一匹だけで飼育していたのに卵を産んだ」というのは、この自家受精によるものというわけです。
最悪自分一人だけの世界になったとしても、繁殖していくことは可能だということですね。
最近では「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」なんてものが流行っていますが、カタツムリこそ最強のジェンダーレス。
人間もそうなれば、少しは日本の少子化にも歯止めがかかるかもしれません。
雌雄同体のメリット・デメリット
生き残るための進化の一つである雌雄同体。
ものすごく便利そうだから、人間もそうなればいいのにと思う人もいるかもしれません。
しかし、雌雄同体にはメリットとデメリットが存在するのです。
メリット
雌雄同体のメリットは、何と言っても「繁殖の機会」が格段に多いことです。
カタツムリは行動範囲が狭い上に動きも遅く、同じ種の仲間と出会う機会すら少ないですよね。
わざわざ「異性」を見つける必要がないので、誰とでも繁殖することができるのは、大きなメリットです。
そしてたとえ一匹しかいなくなったとしても、途絶えることなく子孫を残していくことができるのです。
「もし世界に男(女)が自分だけだったら~」なんて妄想を、カタツムリがすることはまずないでしょうね。
デメリット
一見メリットばかりのように感じられる雌雄同体ですが、良いことばかりではありません。
雌雄同体であっても自家受精を行わずに繁殖する場合のデメリットはありませんが、自家受精を行う場合は少なからずデメリットも。
自家受精と言うのは全て自分の遺伝子だけで子孫を作るということですから、いわゆる「クローン」のようなものです。
そういったクローンばかりが増えた場合、もし環境の大きな変化などが起きたとしたら、対応できずに全滅してしまう危険性があるのです。
例えば、暑さに弱い遺伝子を持ったカタツムリばかりになったとして、地球温暖化で一年中夏になったら一発で全滅してしまいますよね。
このように、様々な環境に対応して種を存続させるためには、やはり別の個体との遺伝子の交わりが必要となるのです。
カタツムリの性別についてのまとめ
多少のデメリットがあるとは言え、やはり雌雄同体はとても便利だなと思います。
人間ももしかしたら、これから何万年、何億年と言う月日をかけて、雌雄同体に進化することがあるかもしれないですね。
その進化を獲得するまでに、人間が絶滅してしまっている可能性も高そうですが…。
(ライター もんぷち)