梅雨時の風物詩と言えば、あじさいにカタツムリ。
イラストや写真などでもよく見かける鉄板の組み合わせですが、一体なぜカタツムリがあじさいによくいるのか、不思議ではありませんか?
あじさいを食べる?居心地が良い?果たしてその真相は…。
というわけで、今回はあじさいとカタツムリの組み合わせの謎について、迫っていきたいと思います!
あじさいとカタツムリの関係
「カタツムリを見つけるなら、あじさいの葉を探してみよう」…そんな経験はありませんか?
そして、実際にあじさいでカタツムリを見つけることはできましたか?
よーく思い出してみると、実際にこの組み合わせを見かけたことは少ないのではないでしょうか。
そう、じつは「カタツムリはあじさいが大好き」というのは、ただのイメージなのです。
あじさいの葉には毒があるため、カタツムリが好んで食べるわけではありませんし、別にあじさいでなくとも様々な植物や建物の壁・塀などにもカタツムリはたくさんいます。
それではなぜ、これほどまでにこの組み合わせが浸透しているのでしょうか。
それは同じ梅雨時期によく見かけられるということから、「あじさいとカタツムリの組み合わせ」が雨天のイメージの代名詞としてよく使われるからなのです。
我々は幼いころからの刷り込みによって、思い込んでしまっていただけなのです…!
と言うわけで、「なぜカタツムリはあじさいが好きなのか」という問いの答えは、「別に好きではない」というのが正解。
ちょっとガッカリしたような、豆知識が増えて嬉しいような…複雑な気分ですね。
野生のカタツムリは何を食べる?
さて、カタツムリがあじさいを好んで食べるわけではないという事実が発覚しましたが、それでは何を食べているのでしょうか。
日本に生息しているカタツムリは基本的に草食です。
ですので、野菜、雑草、樹木、果実、花など、様々な植物を餌とします。
種類や個体によって好き嫌いがあるようなので、どの植物に集まりやすいというのはありません。
しかし、一つだけ高確率でカタツムリが集まる可能性のあるものが…それが「コンクリート塀」です!
雨上がりのコンクリート塀に、大量のカタツムリがいるのを見たことはありませんか?
じつはそれ、コンクリート塀の表面を食べているからなのです。
「いやいや、コンクリートなんて食べ物じゃないでしょ…というか、あんなプルプルした生き物が、コンクリートなんて齧れるの?」と不思議に思われることでしょう。
しかし、カタツムリにとってコンクリートは、成長に欠かせない大切な食料なのです。
カタツムリの殻は体の成長に合わせてどんどん大きくなりますが、その主成分はカルシウム。
コンクリートは雨風にさらされることで、表面から炭酸カルシウムが染み出します。
カタツムリは口の中におろし金のような歯を持っており、これでコンクリートの表面を齧り取って、カルシウムの補給をしているというわけなのです。
ですので…カタツムリを探すなら、あじさいよりもコンクリート塀!
あじさいの毒性について
先ほど、あじさいには毒があるという話をしましたね。
毒があるなんてイメージは全くなかった!という人も多いかと思いますが、じつは現在でもあじさいの毒についてははっきりと分かっていないことが多いのです。
すべてのものに毒があるわけではなく、品種や個体によって毒があるかどうかは異なり、その毒の成分や量も変わってくるんだとか。
ですから一概に「あじさいは毒のある危険な植物です」とは言えないということですね。
それにあじさいの葉っぱなどを口にしない限り害はありませんから、観賞用として育てる分には毒のことなど気にしなくても大丈夫です。
ただ、時々料理のあしらいとして葉っぱが添えられていることもあるので、そういう時は念のため口にしないようにしましょう。
もし毒を摂取した場合、吐き気やめまいなどの中毒症状を起こすことがあります。
大量摂取しなければ死に至るような毒ではありませんが、十分に気を付けてくださいね。
カタツムリとあじさいについてのまとめ
鉄板だと思っていた組み合わせが、じつは単にイメージの中のものだけだったというのには衝撃を受けました。
これからはもし実際にあじさいの葉っぱにいるカタツムリを見かけても、「当たり前だ」ではなく「珍しい!」と思うようになるはずです。
(ライター もんぷち)